健康的な生活の秘訣、それは季節感を大切に自然の中で生かされていることを感じながら、日々の生活をきちんと送ることです。
喉がイガイガしたり、咳が出たりする季節になりました。空気が乾燥し、鼻や喉などの粘膜を保護してくれている水分が蒸発しやすくなって起こる症状ですね。
ノドにはレンコン湯
食養生では「レンコン湯」の出番です。蓮根を皮ごとすりおろした搾り汁に、くず粉と塩少々を加えて混ぜ合わせたものに熱いお湯を注ぎます。好みで生姜おろしを少し加えても体が温まります。
おせち料理にも「見通しがきく」との意味から用いられるようにまっすぐに通った穴が特徴で、喉や気管のつまりを緩和して気を通すと信じられてきました。仏教では、蓮根は極楽の池にあって、けがれのない植物とされています。また、古代遺跡から発掘された2000年以上前の蓮の実が開花して話題になったことがあるほど非常に生命力が強いことで知られています。
現代の栄養学的には、蓮根に含まれるタンニンの成分が炎症を鎮め、細胞を引き締める役割をしてくれるようです。また、蓮根には熱しても壊れにくいビタミンCも豊富に含まれているのです。
蓮根は、まさにいまが旬の野菜ですが、喉の弱いお子さんのおられるご家庭では、蓮根粉末などを常備しておくといいでしょう。
女の神ごと
11月15日は「女の神ごと」の日。秋の収穫作業で疲れた体に、新たな生命力を注ぐ日とされ、この日は男性が台所に入って料理をし、女性はゆっくりと休みます。
「油祝い」ともいって、この日は油気のある料理をつくります。里芋、大根、人参、ごぼうなどの野菜を油で炒めてから「けんちん汁」にするのがならわし。大鍋につくった大量のけんちん汁を囲炉裏にかけておくことから、「霜先の薬喰い」とも呼ばれます。この具だくさんのけんちん汁は、寒さが本格化する前に栄養をつけ、冬に備える薬膳鍋としての意味合いがあるようです。
これらの具となる旬の野菜の特徴は、地面から下へと向かう根菜類であるということ。下降するエネルギーは、私たちの体にとっては細胞を引き締め手足末端への血流を助けてくれて、体を温かくする性質を持っているのです。
季節を感じながら生きることを大切にしたいものです。
冷えは万病のもと
体が冷えると、体内の酵素の働きが悪くなり、基礎代謝が低下、免疫力も下がることがわかっています。「冷えは万病の元」といわれる所以です。
冷えが原因で体に脂肪を溜めやすくなり、その肥満が原因でさらに体が冷え、やがては糖尿病などの生活習慣病、またはガンにもなりやすくなり、ひいては心まで冷えてしまいます。
クスリはリスク
これからの季節は、インフルエンザにワクチンを受けるかどうかが話題になります。もちろんそのおかげでインフルエンザに感染する可能性が下がるのならば、受けるメリットはあるでしょう。一方で、ワクチンに含まれている物質へのアレルギー反応によって蕁麻疹や呼吸困難といった症状を起こすことがあると指摘されています。ほかにも様々な副作用が報告されているのが事実です。「クスリ」は反対側から読むと「リスク」。どんなクスリであっても危険はつきまとうものであるとの認識は必要です。そもそも本物の治療とは、受ける側にとって、肉体的にはもちろん、精神的にも時間的、経済的にも不利益をもたらすようではいけません。
インフルエンザ・ワクチンのもう一つの問題点は、Aソ連型、A香港型、B型といったインフルエンザ・ウイルスには型があり、流行しているウイルスの型と、摂取したワクチンの型とが一致するとは限らないということ。いわば、ワクチンの守備範囲は限局されたものであるということです。
自己の免疫力をあげれば、インフルエンザ・ウイルスがどんな型であれ、またはまったく別の菌やウイルスであれ、相手を選ばず抵抗する力がつくことになります。それが無理のない、もっとも自然な生き方といえます。
免疫力を上げる生活へと向かうために、季節を感じて生活することは不可欠といえますね。
執筆 圭鍼灸院 院長 西下 圭一 病院勤務を経て、プロ・スポーツ選手からガンや難病まで幅広い患者層に、自然治癒力を引き出していく治療を特徴とする。 鍼灸師、マクロビオティック・カウンセラー、リーディング・ファシリテーター。 |