「美味しく・楽しく・学べる」体験型観光としてサトウキビ畑をご案内するなか、「へぇーほぉー」とお客様から驚きや感心の声が上がり、納得していただくことが多いお話をご紹介します。
皮一枚でも生きられる!?
サトウキビの茎はねずみの食害に遭いやすく、食害がひどいと枯れてしまうことがあります。
しかし、基本的にサトウキビは、台風にも、干ばつにも、病害虫にも、何にでも辛抱強く、断面積の70%ほどの茎を失ってもなお、命をつなぐことができます。
サトウキビの茎の中には、根っこから水を吸い上げる「導管」と、葉っぱから養分(ショ糖)を下ろしてくる「師管」が混合した、「維管束」が通っていて、人の血管のような、生命維持の機能を担っています。
サトウキビが生命を健全に維持できているかは、若葉の状態を見ればわかります。
サトウキビは維管束がその機能の大部分を失っても、土の中にある茎や根っこが元気なら、綺麗な薄緑色の若葉を成長させ、生命全体として健全な状態を維持していることを示します。
「死ぬこと以外はかすり傷」という言葉を最近耳にしますが、サトウキビはまさにそれを体現しているように思います。
品質の確保は別問題
しかし、サトウキビの茎はねずみにかじられると腐敗を招き、かなり味が悪くなるため、私たちは収穫から圧搾までの各工程で3回チェックをして、腐敗部分の混入を防いでいます。
サトウキビは生命が維持できていれば外傷部分も自然治癒するので、「生傷のままか、治癒しているか」を見極めて品質を判断するのですが……このあたりのマニアックな話は体験にいらしたときに(笑)。