わたしたちは何のために肉体をもって生まれてきたのかと考えたことはありますか? わたしは、答えこそまだ見つけておりませんが、昔からよくそのようなことを考えていました。現時点で自分のなかで思っていることは「幸せを体験するため」なのかなと。
コロナ禍で人と自由に会うことを制限されたことにより、リモートワークの効率の良さを知ったものの、だからこそリアルに「わざわざ」会いに行く、会いに来てくれることの特別感もまた再認識させられたものです。当たり前にできるものだと思っていると、ついついその時間と手間の有難さを忘れてしまう。人間とはまったくドジな生き物ですね。
一方でメタバース上での恋愛や結婚が世界中で話題にあがっているように、AIやロボット工学の進化は近年目覚ましいですね。わたしたち肉体を持った人間を含む生物そのものの存在が、将来どのようになっていくのかまったく想像がつかない時代に入ってきました。
少子化対策の盲点
わが国日本では少子化の問題が叫ばれて久しいですが、雑誌の『赤ちゃんが欲しい』主婦の友社2022年調べによると「子どもは欲しいけれど性行為はしたくない」という女性は実に55.5%にのぼるとのこと。少子化の問題解決方法として、出産育児にかかる費用を支援するとか不妊治療の技術革新などがよく掲げられますが、それ以前にとりかからなければならない問題が、そもそもズレているように思えてならないのはわたしだけでしょうか。
それら政策や先進的なものを否定したいわけでもありませんし、社会のためになにか大きな啓蒙活動をおこないましょうと言いたいわけでもありません。もっと一人ひとりが、ごく日常生活のなかで自然と素敵な未来はつくっていけるものではないかと思うのです。テクノロジーも上手に活用しつつ、より人間らしさを存分に楽しんで体験できる未来。自分自身も周りの人たちもみんなが幸せに生きていけるような優しい環境。夢物語ではなく、本当に一緒につくっていきませんか?
だから愛を語ろう
そのためにも、具体的に提案したいことが2つあります。
まず一つは「自分の身体を大切に愛する」こと。日ごろから健康的な食事や運動を心がけておられる方もいるかもしれません。しかし、身体を「愛する」という意味は、もっと深く身体を観察したり触ったりして、喜びや幸福感を感じながら整えていくことです。布ナプキンや、セルフプレジャ―は自愛の行動そのものですね。
もう一つは、大人たちが愛を語ること。この肉体は、天から降って生まれたものではなく、ご先祖さまである人間同士の「リアル」な営み、つまり性行為によって、母体を通し生まれてきました。その結果、今、ここにわたしたちが存在しています。脈々と受け継がれてきたその営みが、絶えようとしているのです。無頓着になったり、後回しにしている場合ではありません!ことの重大さを知ってください。
これまでの偏見に満ち歪んだ性に対するイメージを解いていくことが、この時代に生かされたわたしたちに試されている課題のひとつのような気がしてなりません。
人が人を愛すること。それはシンプルに素敵なことであることはご存じのはず。五感を味わい、感情を楽しみ、パートナーと共感し愛し合い、子どもや地域の方、仕事仲間とともに笑ったり泣いたりして幸せに生きている。平凡に見えて、当たり前ではないその営みを、あなた自身が背中を見せ、ときに言葉を使って語っていくことで、次の世代へ大切に紡いで参りましょう。