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小さな農と天職と新しい未来と

半農半X研究所代表
福知山公立大学地域経営学部特任准教授
総務省地域力創造アドバイザー

塩見 直紀 (しおみ なおき)

1965年、京都府綾部市生まれ。
「半農半X(=天職)」コンセプトを20年前から提唱。
ライフワークは個人~市町村までのミッションサポート、コンセプトメイク。
著書(『半農半Xという生き方【決定版】』など)は翻訳され、台湾、中国、韓国でも発売され、海外で講演もおこなう。

みんなのチャンスがひろがるように

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与える文化

残念ながらわれわれの文化では、与えることより獲得することのほうに重きがおかれているといいます。
マザーテレサのような与える文化が「1」としたら、(肩書きや名誉、お金、物質など)獲得することを求める文化は「100」であると。
新しい時代の変わり目である今という時期は、様々な「とらわれ」を手離す訓練の時なのかもしれません。
せめて私たちの時代に与える文化を「2」か「3」にしていきたいと思うのです。

家庭や職場など、それぞれの場所で、どんなに小さくとも「与える文化」を育てていきたい。
ぼくは日本を、住んでいる京都を、綾部という小さなまちを、「与える文化の先進地」にしたいと思っています。
そんなふうになれたら、どんなに素敵でしょう!

「天に持っていけるのは、人に与えたものだけ」。
このことばと出合い、感銘を受け、以来、「与える」ということばに敏感になっていきました。
すると、いろいろな人が語る「与える系のメッセージ」が次々と飛び込んでくるようになったのです。
その一部を紹介しましょう。
まずはそのマザーテレサのことばから。
「持ち物が少なければ少ないほど、多くを与えることができます。
矛盾としか思えないでしょう。
でもこれが愛の論理なのです」。
日本人に伝えたいとても深いメッセージですね。

「人間は手に入れるものによって生計を立て、与えるものによって人生をつくる」。
ウィンストン・チャーチルのことばです。
手に入れるものと与えるものと。
人生はおもしろいですね。

「生まれて、この世に生きているということの一番の価値は、自分の目や口、手足を使い、他者の心に、ほんの少しでも慰めや励ましを分け与えることができる、ということではないでしょうか」。
これは、詩人・エッセイストの浜文子さんのことばです。
「声かけ」はまちづくりでも大事なキーワードです。

レシーブ&パス

いま、娘と同じ年齢である大学1年生対象の「地域観光論」という授業を受け持っています。
講義の冒頭で今まで出会い、影響を受けてきたことばを毎回8つほどずつ紹介しています。
地域活性化とか、観光立国とかだけでなく、深いところで核心に触れる授業をしたいという思いからそんな時間をとっているのでした。
先のマザーテレサのことばも地域観光の観点からとらえてみると、ヒントがいっぱいですね。

今回、あらためて今までの人生を振り返ってみると、いろいろなことを受け取ってきたから、いまがあるのかもしれないなと思いました。
「give&take」ということばがありますが、いろいろな人によって、「give&give」や「give&forgot(与えたことさえ忘れる)」といった表現もされてきました。
ある方が、「receive&pass」というすてきなことばを使っておられ、なるほどと思ったことがあります。
受け取り、そして、誰かにパスをする。
受け取りつつ、すてきなボールを誰かにパスをして、いい時代になるようなチャンスをひろげる一助となればうれしいです。

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田んぼは思索空間。お米もとれるけれど、アイデアもたくさん収穫できます。
ペンと紙は必携です

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半農半X研究所代表
福知山公立大学地域経営学部特任准教授
総務省地域力創造アドバイザー
塩見 直紀(しおみ なおき)

1965年、京都府綾部市生まれ。
「半農半X(=天職)」コンセプトを20年前から提唱。
ライフワークは個人~市町村までのミッションサポート、コンセプトメイク。
著書(『半農半Xという生き方【決定版】』など)は翻訳され、台湾、中国、韓国でも発売され、海外で講演もおこなう。
http://plaza.rakuten.co.jp/simpleandmission/

- 小さな農と天職と新しい未来と - 2016年8月発刊 Vol.107

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