同質化を求める日本社会

僕って変な人?

学習障害を持つ子どもたちは同質化を求められる日本社会のなかで、「自分は人と違う」「変わった子だと思われている」「普通のことが当たり前にできない」、そんな思いを抱え常に人の視線を気にしながら生活しています。

人一倍感受性が豊かな彼らは、あざ笑われているんじゃないかと感じてしまうこともあるのです。その視線に対する誤解もあるのでしょうが、やはり日本社会においては〝普通〞という枠組みからはみ出しているものに対して、多くの人が敏感に反応しているのは確かです。

欧米諸国などでは逆に個性が尊重され、独自の発想を評価される社会です。同質化を求められる日本社会は、彼らにとってとても冷たく居心地の悪い場所になっている気がします。

安心できる居場所がないと感じている彼らは、それでも必死に全力でその社会に適応しようと試みます。しかしその努力は人の数十倍のエネルギーを要します。しかも、それは本来の自分からどんどん遠ざかる努力なのです。

私などは想像するだけで全身が強張ってしまいますが、実際わが次男は思春期を迎えて以降、ずっと緊張型頭痛で苦しんでいました。ほぼ毎日です。市販の薬が手放せず、お風呂上がりに母と子のスキンシップで得られる愛情ホルモン・オキシトシンを促すアロママッサージのリラクセーション効果で緩和させていました。

留学後、私が気がかりだったのは、そんな頭痛持ちの息子が毎日襲う痛みにどう対処していけばいいのかということでした。
アロママッサージをしてあげる事はもうできません。薬に頼るしかないとほぼ諦めていました。

ところが2017年8月下旬に渡米して、1週間が経ったころ、彼が頭痛を訴えてないことに私は気がつきました。

「あれ?アメリカに来てから頭痛出てる?」

「全く痛くないよ」

「えっ、本当?!どうして頭痛が消えたんだろうね?」

「う〜ん、僕が入りたいところに入ったからだよ。そう、アメリカ!日本の社会は僕には冷たく感じるから……」

 

自己肯定感を育む

日本での電車通学で、彼はいつも嫌な思いをしていたと、そのとき初めて告白しました。学習障害のある子は一種独特の雰囲気を持っています。そのくせ息子は、世間一般の流行とは全く関係なくむしろ逆行するような、自分が今着たいものを着て、したいままの髪型にしていました。例えば、1980年代の大ヒット映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に夢中になったときなどは、その主人公マーティと全く同じ格好をして学校へ行きました。たとえそれが真夏であってもダウンジャケットを着るのです。

私はその一見奇怪な行動を止めることはしませんでした。彼のこだわりは果てしなく、私にはとうてい理解できるものではありませんが、私の尺度ではなく彼自身が求める「快」を、まず尊重してあげたかったのです。

否定せずに、あるがままを肯定してあげることで、「認めてもらえた」という自尊心が育まれていきます。人の好みを否定する権利など誰にもないはずです。

「人が僕のことをチラチラと見るんだ」

無理もないと私は心の中で呟きながら、彼の話に耳を傾け続けました。
際立つ個性は実際人目を引きます。

「いつも僕は電車に乗りながら、心の中で、僕のことを見ている人にこう言っていた。
なぜ僕だけを見るんだ!変わっているから?これが僕なんだ!
僕はこう生まれたんだから、この僕を認めてください!!」

そばにいる1番の支援者であり理解者である母親が、際立つ個性を肯定し続けることで自己肯定感が生まれるのだと思います。

「あー君、えらいね!
あなたはあなた自身を認めている。そのあるがままのあなたを貫きなさい!
あなたの人生で、アキトという芸術を爆発させなさい!」

私はそう彼に言いました

 

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ヒプノセラピスト・エッセイスト・女優
宮崎 ますみ(みやざき ますみ)

1968年愛知県生まれ。1984年クラリオンガールに選ばれ、女優として、舞台・映画・TVなど幅広く活躍。1995年結婚を機に渡米。米国で2児の息子を育てながらYOGAに傾倒し自己探求に専念。瞑想を深めていくなかで自己の本質に目覚め、ヒーリングとリーディングを始める。帰国後2005年、乳がんであることを公表。克服後2007年ヒプノセラピストに。同年11月厚生労働大臣より「健康大使」を任命される。自身の経験を活かした講演会活動やヒプノセラピスト養成に取り組んでいる。

ヒプノウーマンSalon『聖母の祈り』 http://salon.hypnowoman.jp
一般社団法人ホールライフクリエーション http://wholelifecreation.com
日本ヒプノセラピーアカデミー・イシス http://jhtaisis.net
日本ヒプノ赤ちゃん協会 http://hypnoakachan.com