今回でこの『らくなちゅらる通信』での連載は最終回になりました。これまで商品のことを中心に書いてきましたが、最後くらいはテーマに沿って書いてみようと思います。
今回のテーマは「老い」です。生まれた瞬間から人はものすごい速度で成長し、身体能力や学習能力などが発達し、ピークを過ぎると急激に衰えていきます。ピークのときはそこがピークだとは気づかず時が流れ、振り返ると「あのときがそうだったのだ」と愕然とするわけです。身体能力はもちろん、頭脳にも以前とは比べものにならない衰えを感じる今日この頃。「これが老いなのか!」としみじみ思っているところでした。
こうやって書くと目も当てられませんが、私は老いを何気に楽しんでいます。それまでできていたことができない代わりに「自分がやらなきゃ!」という頑固な自分をかなぐり捨てることができました。だって、できないんですもん!
前のように!
歳を重ねると人はそういう心境になるのかとしみじみ思うことの一つが、以前と同じことができなくなる代わりに、若い人を育てたいという気持ちが強く自分のなかにあふれ出てきたことです。これは人の本能なのでしょうか?
若い人に任せると、みんな生き生きと難しい課題にもチャレンジしてくれます。自分にできることなんて本当に限界がありますが、素直な人は話を聞き、それに応えて成長してくれる。そして私は楽をさせてもらえる。これでいいのだなと思うようになりました。
老いるというのは手放すこと。手放すと自分が想像していなかったまったく別の視野が開けるんだなと、今、実感しています。
いつか迎える最期のときに
老いの先にやがては死を迎えるわけですが、私は死をそんなに恐れていません!
現世で子供が持てなかったので、来世こそ!
と思いますし、早く来世の世界ものぞいてみたい、とも思っているのです。
死は、「もういいよ、もうあなたはこの世で十分生きたよ」という意味だと思います。いつくるかわからないその時を、私は淡々ととらえています。ただし今までの経験上、死にざまこそ、その人の生きざまがはっきり見えると思います。だから、自分の最期が明るいものとなるように、つねに意識して生きていくようにしています。あれもやりたいこれもやりたい、ということは本当にもうなくて、次から次へとやってくる目の前の課題に向き合うのが精いっぱい。その課題を周りの人の助けも借りながら解決することで、成長を期待し、周りのご縁のある人と一緒に生きていきたいと思います。
オリーブオイルと出会ってから今まで、一体私は何千人、何万人もの人と出会ってきたのでしょう。もう勘定していませんが、人とのつながりの楽しさと素晴らしさを普通よりは経験させてもらい、充実した生活を送ることができています。それはもちろんオリーブオイルに出会えたおかげですが、その道を切り開いた自分をまんざらでもないと思います。好きなこと、情熱を持てるものに出会えた人生の醍醐味は格別です。これからさらに年を経て、毎日を積み重ねるなかで経験することが、いつかやってくるその日にどのようにつながるのか?
興味津々です。
これまで拙い文章をお読みいただきありがとうございます。皆様のご健康と平穏を心からお祈りし、最後の締めくくりにしたいと思います。