三つ子の魂はどこに
複数の子宮筋腫がある、43歳の妊婦さんから聞いた本当の話。
二度流産ののち、妊娠が継続しました。高年の初産だし、妊娠が成功するまでの医療介入の経緯もあり、出産場所として、大病院2つのうち一つを選ぶことになっていました。条件を比較して、自宅から多少は近いほうの、出産に関する評判は聞いたことがないけれど(私もないです)、一般に知名度の高い大病院を選びました。最初にもちろん検査がありました。それまではお腹の子は一人だと聞いていたけれど、三つ子だと言われたそうです。そして、赤ちゃんはお腹の中で死んでいた。凄まじいショックです。年も年だし、次はないかもしれない。
そして、亡くなった赤ちゃんを外に出す処置をすることになりました。自然流産じゃないんですね……。三つ子だからか?
年齢的に急いだのか?
わかりません。処置直前の最終確認として子宮の中を見ると……赤ちゃんは生きていました、そして一人でした。手術は急遽取りやめになりました。死んだ赤ちゃんと思われた存在は、あると知られていたはずの、子宮筋腫だったんでしょうか?
経緯は闇の中です。その妊婦さんは、すっごく痛かったのに!
と怒ってらっしゃいました。当然痛いし、心もとても痛かったことでしょうね。その「中身をみる最終確認」があってよかった、赤ちゃんが無事でよかった、と、心から思います。
生理を度重ねることのリスク
近ごろは月経血コントロールのやり方をお伝えしながら、生理を迎える前の子どもや、妊娠前の若い女性と、妊娠について話す機会ができました。できれば将来設計の時系列に、早めに妊娠を組み込んで欲しいので、「私はできなかったけど」と前置きしつつ、産まないことによって女性は子宮にトラブルを抱える可能性が高くなる、という事実も補足するようにしています。
前出の子宮筋腫、子宮内膜症、そのあたりはよく聞きますよね。
内膜症に関しては、生理を度重ねることで重くなる病気なので、一般に妊娠すれば治る、あるいは症状が軽くなるといわれています。症状が辛い場合は、妊娠との兼ね合いで、検討していくことになるだろうと予想します。
子宮筋腫についても、症状と妊娠との兼ね合いで、手術を含む治療を検討します。私自身、30代半ばで子宮筋腫が見つかり、手術を提案されました。その後さほど経たずに妊娠し、出産と同時に消えたので手術の話は立ち消えですが、この経過を話すと、筋腫はなくならないと、医療従事者に否定されたこともあります。でも第一子の出産後みつからないのは確かですね。
東洋医学系の先生には、筋腫があったというと、ああ赤ちゃんが欲しかったのね、と言われました。この解釈にも異論が出そうですが、赤ちゃんを宿したいがために筋腫を宿してしまう、と思うと、切ない話です。やはりできれば、子宮が赤ちゃんの代わりに筋腫を宿す前に、「40すぎて妊娠」の背景に多々ある不妊治療の知識ももったうえで、人生設計ができたらいいよね、と、間に合う方には伝えています。
筋腫を宿したころの昼夜なく働いていた私に、その話をしても、たぶん、そう言われてもねぇ、と、働き続けたでしょうね。だから、妊娠前に自分の体ときちんと向きあえる、月経血コントロールは有用だと思っています。
望月 索(もちづき さく)人一倍不摂生な出版仕事人が37 歳、40 歳、44 歳で出産、育児の経験も積み、健やかな暮らしについて学び合う協会の設立メンバーに。
編集、ライター、一般社団法人日本マクロヘルス協会理事。編著に『子どもを守る自然な手当て』、訳書に『親子で楽しむ!
おむつなし育児』、『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』。
http://macro-health.org