おっぱい、そして排泄
妊娠中の両親学級などで、産む前に知っておきたいこもごもを教わる人は多いのではないでしょうか。子が宿る時点までほぼ知識がない人は、メインストリームの講習を受けるほうが安心です(わたしもそうでした)。産院、行政サービスなど、さまざまなところで、新生児の衣食住の基本を教わることができます。そんなときに教わる内容で、赤ちゃんの健康を支え、母子の絆をはぐくむ手段として、赤ちゃんの「水」であり「食」でもある、母乳育児の情報はマストな知識です。
食とセットで、排泄の情報にも触れられます。多くの場合はおむつの分類と使いかたを教えます。紙おむつをベーシックな手段として使い方を紹介するのが常、布おむつについても、たたみかた、あてかたなどを教えてくれる場合もあるでしょう。布おむつというと、「えらいわね~」という言葉の背後に、(そんなに頑張らなくてもいいんじゃない?)という微妙なニュアンスが汲み取れることもあり、「頑張りたいわけじゃなくて、おっぱいと、布一枚で子どもを守れると思った瞬間にとても幸せだったから」といった素敵なコメントをくださった二人目妊娠中の妊婦さんもいました。買い置きへの配慮も、おむつのサイズアウトも、ゴミ捨てや臭いの問題もない。シンプル、ナチュラルで楽。幸せですよね。
そんなママとお話ししていて、まだまだなんども書く必要があるのだな、と思ったのが、まさにシンプルのきわみ、おむつなし育児のことです。おむつがなくて困っている被災地のニュースを耳にしたときに、「おむつがないならおむつなしにすればいいじゃない?」と顰蹙をかいそうなことを本気で思ったものですが、布一枚すらいらないかも、乳さえあれば、身一つでわたしはこの子を守れる、と感じられる瞬間があるのは、子育て中、外界への警戒心が高まっている母にとって、大変な福音です。
排泄もコミュニケーション
おむつなし育児とは、おむつなしといいつつおむつも使います。昔の人は普通にやっていた、おむつの外にも排泄させる子育て法のことをさします。新生児ふくめ、小さいほうが身につけやすく、動物のトイレのしつけと同じだと思ってください。新生児が排泄の合図をおぼえて、トイレしてくれるようになるのは、本気でかわいいです。おむつなしでも、いつおむつをはずすかは親の裁量によります。うちはみんな1歳半前後ではずしました。それでも周囲よりははるかに早いです。
おむつをトイレにして排泄するよう、時間をかけて教え込んでからおむつをはずすのは不合理です。でも、合理性とか、おむつの数が減ることでの環境負荷の低減などを超えて、親子のコミュニケーションに、おむつなし育児はプラスになります。「トイレに行きたい」という感覚に、応える姿勢がある場合と、それをまず無視する場合。食の要求に応えるように、排泄の要求にも応えられると伝え続けるのは、ものすごく基本的なコミュニケーションだと思いませんか? おっぱいで絆をはぐくむように、おしっこ・うんちで絆をはぐくむのも大切。そのふたつがあればほかに何もいらないのでは?と思うくらいに、小さいときほど排泄による絆もリアルです。紙でも布でもおむつ替えは少ないほうが楽ですから、おむつの種類ではなく、有無の選択もありうること、知っていただきたいです。迷う人はご連絡くださいね!