不登校で悩んでいる子どもや親御さんに、最近お話ししていることですが、「学校に行くor 行かない」という基準でどうしようかと試行錯誤してしまうと、どんどん苦しくなってきます。
子どもに義務はない
本来、小学校、中学校の義務教育というのは、子どもに学校に行く義務があるのではなく、大人が子どもに教育を与える義務があることを意味しています。具体的には、行政は子どもの学ぶ権利を保証するために学校を設置するという義務を負っています。また、保護者は子どもが学校に行く環境を整える「就学義務」という義務を負っています。子どもには教育を受ける権利はありますが、学校に行かなくてはいけないという義務はありません。子どもが学校に行きたくない、行けないといったときに無理強いすると、たいていこじれていきます。
不登校の子どもたちのなかには、学校に行きたいのに行けないというケースがあります。感受性の強い子どもは、不特定多数の大勢の生徒の中にいること自体を、苦痛に感じる場合があります。また、特定の刺激に対して過敏に反応する子の場合、視覚、聴覚、嗅覚などの過度の刺激のために、登校できないということもあります。
本来行政は、すべての子どもが苦痛なく学べるように、100人の子どもがいれば100通りの教育を準備するのが理想です。でも実際は、現行の「学校というシステム」に合わない子どもをどうやってシステムにのせようか? という発想しかないように感じます。理解のある先生もいらっしゃいますが、学校というシステムのなかで苦しい戦いをされているという印象です。
元気が出ることを優先する
もっと根本的に「元気が出るor 出ない」という基準で考えると、不登校の打開策が見えてきます。元気があれば、ちょっと頑張ることで学校に行けるかもしれません。でも、元気がなければ、どんなに学校に行きたくても、無理でしょう。元気がないことを考慮しないで、どうすれば学校に行けるだろうか? なにが原因なのだろう? と考えてもあまり意味がありません。それより先に、元気が出るために何が必要かを考えましょう。
まず、病気があれば治療しましょう。もしかすると、元気が出ないのには、なにか体調不良の原因が隠れているかもしれません。そのうえで、元気が出るのは、極論すれば「やりたいことがやりたいようにできること」「やりたくないことをしないこと」です。そして元気が出ないのは「やりたいことがやりたいようにできないこと」「やりたくないことをしないといけないこと(やらなければいけないことがたくさんあること)」です。いわれてみれば当たり前のことなのですが、元気が出るよう実践するのはとても難しいことかもしれません。すぐに理想的な状態になるのは難しいですが、そちらの方向に進もうとする気持ちはもっていてほしいと思っています。
そのためにも、親御さん自身が「自分は本当にやりたいことができているだろうか? やりたくないことを我慢し続けていないだろうか?」と自問してみてください。親御さんが我慢をしたままでは、結局どこかに無理が出てきて、行き詰まってしまいます。
学校に行くと元気がなくなるのであれば、学校に行かなくてもいいのです。元気が出ることを最優先にするべきです。子どもが幸せになるのに必要であれば、学校を利用するのは良いですが、子どもが不幸になるのに学校に行かせる必要はありません。学校に人生を捧げる必要はないのです。逆に、学校が楽しくて行くと元気が出る子であれば、学校で楽しみましょう。学校以外の場所に元気が出ることがあるなら、そこでめいっぱい楽しみましょう。やりたいことをあきらめないで!!