人目を気にしないといけない。人に迷惑をかけてはいけない。常識ではこうあるべきだ。世間体が悪いのはよくない。こういった考えで、自由に身動きが取れなくなっていませんか? 後ろ指を指されないように、人に迷惑をかけないように、失敗しないように、嫌われないように……と、自分で自分を見張っていると、肩が凝ったり、頭痛がしたり、手足が冷えたり、眠れなくなったり、動悸がしたり、不安になったりします。これらは自律神経のうち、緊張したときに交感神経が興奮することで起こる症状です。緊張が強ければ、症状も重くなります。思考が症状を作っているのです。実は病気のもとには思考による緊張があります。
出発は幸せになりたい、という思いだったはずです。幸せを求めて、失敗しないように、嫌われないように努力しているのに、まったく幸せになれていないわけです。努力して一定の基準(条件)をクリアすれば、人目を気にしていれば、人に迷惑をかけなければ、常識通りにしていれば、世間体を悪くしなければ、幸せになれるはずだったのに。頑張るほど苦しくなるばかりです。また情報の洪水のなかで現代人は、「〜したら幸せになった」「〜で臨時収入が増えた」「〜で痩せた」「〜で病気が治った」と、さらに幸せになるための条件を増やし続けます。
すべての条件を満たせば幸せになれるのでしょうか? こんなに情報がなかった昔の人はみんな不幸だった? そんなことはないでしょう。本来幸せには条件は関係ありません。
いま自分が持っているものに気づくと幸せになれます。今日ご飯が食べられて超幸せ!と思うだけでもいいのです。もし3日間遭難してご飯が手に入らなかったとしたら? 次に出会うひとくちが超絶幸せなはずです。ただ、頭はいつも欲張り。ご飯が食べられるなんて当たり前!と思えば、幸せと感じられません。もっと美味しいものが欲しいとさえ思います。手に入らない自分が不幸と感じることもあります。
気分に気づく
その不幸な思考を、幸せを感じる思考に少しだけ切り替えましょう。コツは「欲」に気づくこと。欲が発動すると、幸せ感はなくなり、気分が悪くなります。気分が悪くなったとき、その奥には欲が潜んでいます。「嫌われないように」は、好かれたい・愛されたい、「思い通りにならないイライラ」は、状況をコントロールしたいというように。まずは気分に気づきましょう。「いま苦しいと感じていたなぁ」「辛さを感じていたなぁ」「モヤモヤを感じていたなぁ」と。
ポイントは、そう感じていたことを「ダメなこと」だとジャッジしないこと。そんなふうに感じる自分はダメだと、つい思ってしまいますが、できるだけ「ただそう感じていたんだなぁ」と、そのままの気分に気づきましょう。「そんな自分はダメだ」と思ってしまったら、「自分のことをダメだと思っているんだなぁ」という思考に気づきましょう。
自分の感情や思考をジャッジせずに気づくことができるようになると、緊張する必要がないことがわかります。ネガティブな思考を否定したり、がまんすることに意外と大きな筋力を使っていることに気づかされます。
どんな思考や感情も、それを含めて自分自身だと考えると、思考や感情をジャッジすることは自己否定することだと気づくことができます。自己肯定するということは、思考も感情も全部そのままでオッケー!ということになります。自己肯定することは緊張をゆるめることだといえます。
幸せになりたい!と、頑張ることをあきらめてみましょう。いまの感情や思考に気づいて、そのままの自分をジャッジすることをやめると、縮んでいた心がのびのびと大きく広がっていきます。緊張が取れて、リラックスすると血流がよくなります。免疫力が上がって病気が逃げていきます。