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くま先生のすこやか診察室

「子どもも親も、家族みんなの笑顔と幸せのために」総合医療くま先生からのメッセージ

統合医療やまのうち小児科・
内科医師

山内 昌樹 (やまのうち まさき)

小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
〒849-0915 佐賀県佐賀市兵庫北5丁目8-7-2
0952-33-8500
http://www.yamanouchishounika.jp/

自分の幸せ最優先

投稿日:

夜遅くに洗い物をしたり、洗濯物を片付けたり、持ち帰り残業をしたりして、気づいたら寝落ちしていることはありませんか? それらは危険信号です。人に尽くしたり、気を使ったり、迷惑をかけないように気をつけたりして、だれかのためにエネルギーを使いすぎて疲れている人がたくさんいます。他人や家族のためにがんばりすぎて、自分の時間がまったくない状態です。

できる人や気が利く人でいたい、だれかに認めてもらいたい、迷惑をかけたくない、機嫌を損ねたくないなど、がんばる理由はさまざまです。しかし、エネルギーが余っているならまだしも、余力のないなかでがんばり続けていると、いつか病気になってしまいます。そこで、今回はがんばりすぎをどうやったらやめられるのかについて解説します。

私たちは子どものころに「宿題が終わったら遊んでもいいよ」と言われてきました。これは言い換えると「遊びを人質にして、取り戻したいなら宿題をしろ」ということです。親も宿題をさせることに必死なので、こう言うのは仕方がないと思います。本当は「なんのための宿題なのか?」「本当に必要か?」と考えるべきです。働き方改革で大人は残業を減らそうとしているのに、子どもには宿題(残業)をさせるという矛盾が生じています。「宿題が終わったら遊んでもいい」は「やらなくちゃいけないことが終わらないと、やりたいことをやってはいけない」という思い込みを生じさせることがあります。

患者さんに「正しいほうより好きなほうを選びましょう」と伝えています。正しいほうとは、「〜するべき」と思ってやっていることです。好きなほうとは、心や体が心地よいと感じることです。正しいほうは、他人のためにやっていることです。好きなほうは、自分のためにやることです。正しいほうは、きちんとやらなければと思ってやることです。好きなほうは、やりたくてやることです。正しいほうは、やればやるほどエネルギーが消耗します。好きなほうは、やればやるほどエネルギーが活性化して増えていきます。

完全に好きなほうだけを選択するのは難しいですが、少しずつでも好きなほうを選択するように意識しましょう。まずは先にやりたいこと(好きなこと)を短時間でいいのでやりましょう。そして、やらなくちゃいけないこと(正しいこと)をがんばりましょう。そして、疲れたら再びやりたいことを短時間やって、次にやらなくちゃいけないことをがんばる、というサイクルを意識してやりましょう。

正しいほうより好きなほうを選ぶときの最大の問題は、罪悪感です。正しいほうより好きなほうを選ぶというのは言い換えると「さぼって遊ぼう」です。そう言われると「そんなことしてはいけない」と思いませんか? この罪悪感を取り除くのが難しいのです。

罪悪感を減らすために思考実験をしてみましょう。なんのために生きていますか?と聞かれたらなんと答えますか? 普通の感覚で答えるなら「幸せになるため」ではないでしょうか? 幸せになるために今我慢して将来に備える、というのが多くの日本人の考え方です。僕も以前はそう思っていました。でも、もし今すぐに幸せになれるとしたら、その我慢はなんのためですか?

今すぐに感じられる小さな幸せを感じてみましょう。美味しいお茶を飲んだり、大好きなスイーツを食べたり、ゴロンと寝転がったり、楽しい動画を見たりしてみましょう。もし罪悪感が湧いてきても、あえて「幸せだなぁ」とつぶやいてみましょう。少しでも幸せを感じられたら成功です。それは小さな人生の目的達成です。その小さな目的達成をいくつも積み重ねましょう。やらなくちゃいけないこともやりながら、好きなことを諦めずにやり続けましょう。罪悪感が外れたとき、大きな解放がやってきます。

- くま先生のすこやか診察室 - 2024年8月発刊 vol.203

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