先月号でお話ししたように、通常、マイナスの感情を感じた場合、そのままにしておくのはとても不快であるため、思考(マインド)は、その感情の原因を、誰かのせいにしたり、抑圧したりします。マインドは脳の機能の一つで、自我が作ったコンピュータのプログラムのようなものです。過去の経験を元に、どうすれば損をしないか、魂に傷がつかないかを基準に計算しています。この自我の働きは、日常生活とくにルーチンワークを円滑にすすめるのには、とても役に立つ優秀なプログラムです。
マイナス感情を抑制すると 心の自由は奪われる
しかし根本的に、物事を分離・分割して論理的に、言語的に理解するという働きであるため、心の働きである感情を理解することができません。感情には論理はないし、ほんとうの意味で言語化できるものでもありません。感情が暴れだすと自我は手の出しようがありません。そこで自我はマイナス感情が暴れないように、前もって、用心深く、失敗しないよう、非難されないよう、慎重に、外の様子をこっそり伺いながら過ごすようになります。その時のプログラムは「傷つかないように~するべき」「損しないように~してはいけない」「非難されないように~しよう」と、ドンドン心の自由を奪っていきます。
この苦しさから開放されるためには、逆の発想をする必要があります。
分離・分割して論理的に理解する。自他を区別して自分を守る。
その逆は、自他の境界をなくして統合する。すべてを愛する。自他の境界をなくすことは、過去から現在の賢人たちの教えのなかに様々な言葉で表現されています。
ノンデュアリティ(非二元)、ワンネス、アルファでありオメガ、梵我一如、神人合一……。この方向はまさに、悟りへの道です。狭き門で入り口は見つけにくいですが、必ずどこかに手がかりはあります。そしてまちがいなく幸せに向かうことができます。
その幸せに向かう狭き門の一つを紹介します。
自分をまるごと好きになる
あなたは自分のことが好きですか? どこか自分の中に気に入らないところがありますか? 自分自身でダメ出しをしているところ、嫌だと思っているところ、短所だと思っているところはどこですか?
自分自身を統合する一つの方法は、自分の長所も短所も全部まとめて、まるごと好きになることです。自分が欠点だと思っているところにこそ、あなたの強み、長所がかくれています。
最近、自分って中途半端だとつくづく思うことがありました。一つのことにのめり込んで突き詰めるということができないので、一芸に秀でた人を見ると凄いな〜うらやましいな〜と思っていました。何をやっても中途半端な人生だなって。
自分の欠点を統合するには、その欠点が長所に変更できないかを考えてみることです。例えば、僕の場合。「中途半端」ということは、バランスを取っているということ。さらにプラスの面に注目していくと、状況判断が上手、マネジメントが上手かもしれない、柔軟性がある、謙虚である。
自分のことを褒めるのは難しいですが、照れずにやってみましょう。そして、自分の欠点を含めた自分自身を愛する……愛おしいなあ、大切なモノだなあと思ってみる。それが自分自身のなかで分裂していたものを統合するということ。生まれた頃の統合された状態に戻ること。つまり、もう一度新しく生まれ変わって、新たな人生を歩みはじめることになるのです。
統合医療やまのうち小児科・内科医師
山内 昌樹(やまのうち まさき)
小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。
YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。
お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
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