『美味しく・楽しく・学べる』体験型観光でバナナ畑をご案内していて、初めて見る・知る内容に「へぇ~ほぉ~」と驚き・感心・納得していただくことが多い内容を、先月に引続いてご紹介します。
35枚目の記憶
バナナの幹は中心から外周部まで、ぎっしりと葉っぱが重なり合ってできていることを先月号でご紹介しました。中心から次々と若葉が出てきて、先の葉っぱを外に押しやりながら「草」とは思えないぐらい立派な幹を形成していきます。そして、葉っぱ35~40枚目で花包(かぼう:バナナの花・実がぎっしり詰まった赤いハート形の蕾)を出蕾します。まるまると太ると10キロ以上にもなるバナナの株を支えられるしっかりとした幹ができる頃合いを見計らって出てくるように、設計・記憶されているのでしょうね。
バナナのファミリー
バナナは親株の脇に子株が続々と芽を出し、放っておいたら1つの親株の周りに10株以上にもなるほど、地下にビッグファミリーを形成します。近距離では、そうやって命を繋ぎ、勢力圏を拡大します。また一方で、原種に近い品種のバナナには種があります。鳥などに種を運ばせて、長距離での勢力圏の拡大を目論んでいるのでしょうか。うちで栽培する通称アイスクリームバナナには3ミリ程度の種が入っていることがあり、初めて食べるお客様にはビックリされます。ちなみに一般流通しているのは改良品種で、中心部に見られる黒い粒々は、種が退化した痕跡です。
オルタナティブファーム宮古代表
松本 克也(まつもと かつや)
自動車メーカーなど14年の研究職を離れ、2012年5月に家族4人で宮古島に移住。約1万平米の畑で主に有機サトウキビを栽培し、黒糖蜜やキビ砂糖などの加工品を製造。畑で黒糖作りが体験できるプログラムも準備中。その他、有機バナナの栽培、未完熟マンゴーの発酵飲料の製造に携わる。