今号ではプライベートガイドでご案内する観光農園ユートピアファーム宮古島をご紹介します。こちらでは、マンゴーを始め、バナナやドラゴンフルーツ、パッションフルーツなどの熱帯果樹園と、ブーゲンビリアやハイビスカスなどのフラワー園が見学できます。また、併設のフルーツパーラーで、果樹園内で収穫された新鮮果樹を使ったスイーツが楽しめます。
マンゴー栽培は、年間を通してなんらかの作業があり、休む暇がないといわれています。夏の収穫を終え、晩秋に花芽をつけるまでに、枝の剪定や誘引、土作りなど、木や周辺の生育環境を整えます。年初になって開花したら、日照や気温の確保に期待を寄せつつ、着花した枝の間引きや摘芽を進めます。そして、初夏になると、着果、結実、成熟、収穫のトップシーズンに入り、摘果、玉つり、袋かけ、収穫、選果、出荷と多忙を極めます。
観光農園ユートピアファーム宮古島の代表の上地登さんは、マンゴー栽培歴30年以上のベテラン農家で、若手育成をしながら新たな品種の栽培への挑戦や新しい技術の導入に積極的に取組まれています。上地さんは「最近になってようやく木との対話ができるようになったと感じる」とおっしゃいます。今から10年前に「樹齢を重ねると個性が出てきて、一律の栽培管理では育たなくなる。長く続けると、むしろ難しさがわかるようになっている。今でもまだまだ日々勉強をしているよ」と話してくださった記憶が甦ります。
栽培は日照や台風など自然に委ねるしかないことが多く、上地さんは「自身の栽培技術を確立するまでの道程は、思い返してみて結構大変なことが多かった。でも、なにがあってもやり通す覚悟、辛抱して努力を積み重ねる強い思いが大事。細かい栽培ノウハウは大したことではない」とおっしゃいます。迷いのない素早い摘果作業の理由をお伺いすると「目と頭と指が一体化しているから」だそうです。含蓄のある言葉が真実味を持つのは、実績を積み上げてこられたからこそ。自然の恵みと人の努力がもたらす適地適作のとっておきマンゴーがさらに愛おしく感じられます。
いつも笑顔で迎えてくださる登さん。登さんの笑顔は努力の蓄積に裏付けられているように感じます