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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.30】「ラベル」を変えると、見える世界が変わる

投稿日:

不景気だ、景気の悪化が進んでいると言われ続けて、かなりの時間が過ぎました。おそらく、多くの読者のかたはこの言葉を何度も口にされてきたと思いますし、わたしもそのひとりです。しかし、世の中には同じ状況をまったく別の言葉で表現する人がいます。
 
アメリカのダイレクトマーケティング界の神様と称されるダン・ケネディー氏は、みなが「不景気」と表現するこの状態を、「ニューエコノミー」の進展が進んでると表現します。つまり、「新しい経済」に移行しているというのです。彼の定義するニューエコノミーとは、以下の引用からうかがい知ることができます。「買い手が主導権を取り返し、そしてそれを買い手側が認識している状態」と言っていますが、簡単に言うと、「買い手が賢くなった」、ということ。つまり、買い手は何も考えずにホイホイお金を使うのではなく、自分に本当に必要なのか、これは自分に本当にあっているのか、というのを、ちゃんと考えるように「戻った
(主導権をとり返した)」ということです。
(ダン・ケネディ日本公式ブログより引用)

冷静に考えてみれば、従来は「不景気だということは好景気があり、それは繰り返し循環している」という認識になるわけですが、新しい経済の段階に入ってきたと理解して、この状況に違う名前をつけたときから、将来への展望も、いまとるべき行動も、劇的に変化してくるのがご理解いただけるでしょうか。これは、なかなかおもしろい現象だと思うのです。

ちなみに弊社では「お疲れさまでした」という言葉を社内では使わないようにしています。もちろん、この言葉は仕事の終わりなどで疲れているときにお互いをいたわり合う気持ちを表現するものとして用いられます。しかし、「疲れている」という状態をお互いに追認したところで、疲れがなくなることはないのです。さらにいえば、たとえば宴会や旅行など、皆で楽しかった時間を過ごした後にも、世間ではなぜか「お疲れさまでした」と声を掛け合います。楽しい思い出を感じながら、「お疲れ」ではもったいないですから、別の言葉を使ったほうが良さそうです。そんなことで、わたしたちは「お楽しみさまでした」を代用として使っています。
 
こんな話を書きますと、わたしは2年前に自分の体が強く麻痺したときのことを思い出します。だんだん動かなくなる手足を感じながら、正直にいえば、最初は相当に焦っていました。会社には社員が、家には妻も子どももいます。結果的には半身不随の直前で起死回生を遂げることができましたが、症状が進んでいく途中で『四肢麻痺でも、脳も口も元気なんやから、横に筆記の人を付けていたら口だけ人間になって、しゃべるだけで会社経営ができたらすごいやん。もともと口では誰にも負けないと評判なタイプなんやからなぁ』と妻に半分冗談、半分本気で話していたのです。まさに、名実ともに「口だけ人間」の登場です。

人生を変えるには言葉を変えよう、という話では、たいてい「どんなときにもありがとう、ついてる、ハッピー」とポジティブワード一色で塗り替えてしまうのが一番と教えられるのが一般的です。たしかに、この強制的に言葉をポジティブに変えることの効果は絶大なものがあります。しかし、実際にやってみると、口はそういっていても、心が納得していないときがわたしの場合にはありました。しかし、今回例をあげたような、状況を表現するときの「ラベルを変える」というアプローチも、すてたものではないと思っています。今起きている状況をどう感じるか、という認識の微調整は、新しい表現と一緒に、新しい行動、新しい経験を運んできてくれることがあるからです。怒りや悲しみに全身が支配されそうな経験に遭遇したとき、反射的に心のどこかが抵抗をして素直に「ありがとう」といえないとしても、別の切り口から眺めてみることはできます。新しいラベリングをするためには、深呼吸をして、今ほんとうはどう感じているかを冷静に受け止め、観察する必要が生じるからです。また、何度も現象を見つめ直し、違うラベルをつけることはできないかと、何度も反芻する必要もあります。ただ、「ありがとう、ついてる、ハッピー」ということにしておくのとは違う、格別のおもしろさもあります。

わたしはひねくれているだけなのかもしれません。ただ、常識をそのままに受け止めないのが、わたしが日々を前向きに、愉しく過ごせている秘訣のような気がしています。それが世間の常識であれ、科学の常識であれ、スピリチュアルの世界の常識であったとしても、これはこういうものだからという機械的な諦めだけでは、ほんとうのわたしは何を感じているかということに立ち戻る機会を失ってしまうような気がするのです。わたしは『ほんとうはなにを感じているか』は、今を生きる喜びそのものなのです。

- 中川信男の多事争論 - 2010年2月発刊 Vol.30

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