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インタビュー取材しました。

子どもがいるからこそ、創れるキャリアがある

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「子育ても仕事も両方楽しみたい」そう考えるお母さんたちが、子どもと一緒に新たな知識を学び、仲間とつながり、自分らしいキャリアアップに挑戦できる場があります。これまでに延べ3千人が参加した関西発のワーキングマザーのためのコミュニティ「子連れMBA」です。時代の一歩先をいく活動をリードしてきた赤坂さんが考える、新しいキャリアの創り方とは。

一般社団法人ぷちでガチ 代表理事
赤坂 美保(あかさか みほ)

京都出身。国内外の大手企業や金融機関にて財務会計を専門とし、海外事業やM&Aを15年以上経験。2015年、自身の育休中に立ち上げた赤ちゃん連れで経営学を学ぶ勉強会「子連れMBA」は、参加者延べ3,000人を超す関西随一のワーキングマザーのコミュニティとなる。2018年株式会社たおやかカンパニー設立。京都大学経営学修士、米国公認会計士、中小企業診断士。経産省のビジネスプランコンテストLED関西ファイナリスト。

授乳しながら大学院へ  自身の経験が活動の原点

――赤坂さんご自身は、どのようなキャリアを築いてこられたのですか。

私は京都で生まれ育ち、中学・高校時代は勉強よりも陸上競技に打ち込んでいました。ずっと海外に関わる仕事をしてみたいと思っていたので、大学では英文学科を選び、在学中にドイツへ一年間留学しました。卒業後は就職氷河期のなか、任天堂の海外事業部に採用していただけたのは本当に幸運でしたね。ただ、就職した翌年に当時つき合っていた、のちに夫となる人が東京で就職したので、私もついていくためにと考えて働きながらアメリカの公認会計士の資格を取りました。それからはファイナンスの世界に入りました。夫がアメリカに転勤した際は私も現地で転職できましたし、とてもやりがいを感じていたと思います。ただ、そこで成功している方たちを見ていると、財務面や交渉ごとなら私よりもっと得意な人がいるし、私がやるべきこととは違うなと感じていました。M&A(企業の合併や買収)の仕事などで多くの経営者とお会いするうちに、もっと経営のことを勉強したくなって、MBA(経営学修士)を取得しようと考えるようになりした。

――「子連れMBA」の活動を始めた経緯を教えてください。

長男の妊娠を機に東京から京都に戻り、MBA取得のために京都大学の大学院に通い始めました。親族に子どもを預かってもらい、移動時間を含め次の授乳間隔までの3時間だけ学校にいるという学生生活です。赤ちゃんを抱っこしながら課題をこなし、グループ課題ではビデオ通話を使って自宅から参加させてもらったという経験が、「赤ちゃんと一緒でも学べる」という子連れMBAの活動の着想になりました。

一人目の時は大学院と仕事で精一杯でしたが、二人目で初めて育児休暇(以下、育休)を取得したときは、なにか新しいことをやってみたいと思ったんですね。せっかくなので、育休中の友人たちに「ビジネスの勉強会をやったら来る? 一緒にやってみない?」と声をかけました。運営方針としては、メンバーと「会社でできないことをどんどんやっていける場にしようね」と話しました。会社で「もっといいやり方があるよね」と不満に思っていたことも、自分たちの組織でなら自由に決められます。出産後はみんな子連れなので、ITに詳しいメンバーの力を借りて、すべて在宅で運営できる仕組みにしました。

私は講座の企画やコミュニティの運営など、人を集める仕掛けを考えるのが楽しかったですね。ゼロからのスタートですから、最初は知人にダイレクトメッセージを千本ノックのように打ち続けて、少しずつ口コミで参加者が広がっていったという感じです。

制約をバネにして創る力が生まれる

――参加者のお母さんたちは、どんな思いで「子連れMBA」に参加されるのでしょうか。

みなさん最初は、仕事やキャリアのことで悩んでいても、児童館で会うママ友とはそういう話はしないし、利害関係のある職場の人に話すわけにもいかないし、ということで悶々としています。これまでは思う存分、仕事に時間とエネルギーを注げたのが、子育てが始まるとおのずと働き方が変わりますよね。

今でこそ、「会社に育児休暇(以下、育休)の制度がなくてクビになってしまった」とか、「育休を取った人は評価に響くといわれた」というような職場での悩みはある程度減ってきましたが、最近は、「子どもとの貴重な時間を割いてまでこの仕事をするべきなのか」とか、「そもそも私のこの仕事は必要なのか」というような疑問がよく聞かれます。私は、子どもを持つことをきっかけに、これまで「当たり前」と思っていたことに対して疑問を持てることがチャンスなのではないかと思っています。自分の今後のキャリアを模索する出発点になるからです。

私たちは、活動のなかで決して「こうしましょう」という決まった考えや方法を教えているわけではありません。様々な悩みをもったお母さんたち同士が、「子連れMBA」で同じ立場の人や復職した先輩たちと話すことで、気づきを得たり新しいやり方を発見したりして、「じゃあこうしよう」とプラスに転換していくことが多いです。

――「子連れMBA」で学べることはなんですか。

まず、大学教授や実務家による講座やワークショップをオンラインで開催しています。主な内容は、たとえば「交渉学」や「マーケティング」など、子育てと仕事で自分の時間が限られていても、最小の労力で最大のインパクトを生み出す手法や、自ら考えてなにかを生みだす力をつけるための講座です。参加者はFacebookなどのオンラインコミュニティをベースに、常に活発に交流していて、情報交換する以外にも、参加者が自発的に活動する「部活」や「プロジェクト」も複数立ち上がっています。

学ぶ目的は、ここ数年間で大きく変化しているのを感じています。立ち上げた当初は、育休中の方が復職後に「キャリアダウンしないこと」「周りと同じようにパフォーマンスを上げること」を目指していましたが、最近は転職も当たり前だし、起業やパラレルキャリアというような選択肢も現実的になってきました。特に昨年からのコロナ渦の影響で、在宅勤務もずいぶん浸透してきました。働き方が多様化していくなかで、私たちは従来のキャリアの型に無理やり合わせるのではなく、自分たちに最適な新しいやり方を社会に送り出すことに意義があると考えています。子どもがいることで生じる時間の制約や、社会への違和感は、自分が心の底からやりたいこと、心地よく思うキャリアを創るバネになります。

実は子連れMBAの「MBA」は、経営学修士のことではなく「Makers of Business Art」の意味。自分のやりたいことをビジネスの手法で表現する方法をここで学び、自分らしいライフキャリアを創れる人が増えてほしいと願っています。

マイノリティの視点から社会を豊かに変えていく

――「創れる人」になるには、なにが必要ですか。

私自身、勉強が好きではなく、自分が行動してこそ得るものがあるというのを実感してきたこともあり、言ってるだけとか、受け身に学ぶだけだともったいないと感じています。学んだだけでは世の中は変わらない。そこで自分の頭で考える力が必要になると思うのです。その考える力は、自分で行動したり、痛みを伴ってこそ本当に身につく。そこで、私たちの活動でも、コミュニティ内でも発言するとか、企画するとか、どんなに小さくてもいいから行動することを勧めています。一人では難しくても仲間がいると実現できますから、みんなで実践して力をつけていくということを一緒にやっています。

私たちが子育てをするなかで、もう少しあたたかい社会になれば、みんなもっと生きやすくなるのではないか、と思ったことがきっかけです。今、人口比率でいくと、乳幼児は全体の2%程度。つまりマイノリティです。日本は物質的に何も不便のない国だからこそ、マイノリティである私たちの困りごとをちゃんと形にして表現していく責任があるし、そうすることで世の中がもっと豊かになると考えています。

 「子連れの日」を制定することで、子連れだけでなく、ご高齢の方や障がいのある方、LGBTの方など、多様な背景や価値観をもつ人が互いに助け合い、コミュニケーションを取るきっかけとなって、心のバリアフリーが広がってほしいと願っています。

――2018年には観光事業で起業されました。今後どんなことを実現されたいですか。

 「たおやかカンパニー」を起業したのは、子連れの視点から、インバウンド向けで子連れ旅行のサービスが少ないことに気づいたのが発端です。外国人家族向けのガイドや体験プログラムのほかに、ホテルやコンシェルジュの方向けに子連れ旅のアドバイスをするための研修を実施する予定です。京都での子連れ旅に貢献していきたいですね。

これまでずっとビジネスの世界でやってきましたが、最近は「ビジネス」という言葉自体、自分のなかで少し古めかしく感じています。資本主義である以上、多くの方に影響を与えうる手段としてはビジネスは有効だと思うのですが、ビジネス自体は目的ではない。インバウンド観光事業では事業って大変だなと思うこともありましたが、子連れMBAはむしろ参加者の方に助けられていますね。来てくださる方たちが、学んだことで考え方が変わって楽になったとか、思いきってやりたいことに挑戦する勇気が出たというふうに言ってくださるのが嬉しいです。私は、金融業界にいた頃は思い描いているものと違うと感じてキャリアチェンジしてきたわけですが、結果的に経営する時は数字が大切なので役に立っていますし、やっぱり人生に意味のないことはないのだなと思います。今後は多様な働き方を後押しするために、副業でもパラレルキャリアでも、事業を立ち上げる人たちを支援するプログラムもやっていきたいです。

――自分らしいキャリアを創りたい方にメッセージをお願いします。

ビジネスを学ぶというと高尚な経営学をイメージされるかもしれませんが、全くそんなことはありません。新しい知識を学び、それを活かすことが、新しい世界を広げてくれるはずです。一緒に最初の一歩を踏み出してみませんか。

「子育て世代発! 誰もが幸せに生きられる世の中を創る」をミッションに、Makers of Business Art=自分らしいライフキャリアをつくる人を応援します。様々なイベントやビジネス講座など、オンライン上のコミュニティで活動しています。

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