病気は世界共通です。そして自然療法もまたしかり。東洋医学や薬草、薬膳。日本に自然療法の知恵がたくさんつまっているのと同様、世界各国にも古くからその土地に継承されてきた叡智があります。
モザンビークでは西洋から入ってくる現代薬が極端に不足しています。田舎では特に病院や診療所の数も少なく、薬が全くないことも珍しいことではありません。一方で、人々はというと即効性のある薬をとても頼りにしています。
西洋のある団体がモザンビークをはじめアフリカ各国に渡り、身の回りの植物や原材料だけを使って簡単に作れる天然薬の作り方を人々に教えています。病院や薬が周りになくても、自分たちの力である程度の病気や怪我に対応できるようにするのが目的です。驚いたことに、その起源はアフリカの各土地に古くから伝わる先人の知恵をもとにしているのです。欧米人が普及活動を行っていたのでてっきり西洋からの持ち込みかと思っていたのですが、その土地の植物や伝統を尊重しているのはすばらしいと思いました。
さらに興味深いのは、西洋や東洋の叡智もそこにミックスしている点です。『アルテミジア』という中国のハーブがあります。乾燥させてお茶として日常的に取ると、体調を整える効果がありますが、マラリアという蚊を媒体にする熱帯特有の病気にも効果があります。アルテミジアは温暖な気候に適していますが、モザンビークの厳しい気候にも耐えうるように品種改良をして熱帯の地に取り入れ人々の命を救っています。
即効性のある現代薬が気軽に手に入る私たちの生活。豊かな日本で生活しているとひときわ、人間も自然の創造物であること、自然に生かされているというありがたさがどんどん薄れていくような気がします。身近な自然療法を生活に取り入れると、自分や周りの人、ひいては世界まで変えることができるのではと信じています。