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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

ひと夏の経験

投稿日:

スポーツ大会が再開されるようになり、少しずつ活気が戻ってきましたね。元気なところに身を置けば、自分も元気になれると、私も陸上競技大会の200mにエントリー。公の場で200mを走るのは、実は30年以上ぶりのこと。ワクワクと緊張と不安で、前夜はなかなか眠れませんでした。

結果は、棄権。ウォーミングアップの最中に肉離れを起こしてしまい、本番30分前になって棄権を申し入れ、30年ぶりのワクワクは持ち越しとなってしまいました。

ケガの功名

「昨日の結果は?」「棄権しました」。治療院という仕事柄、大会翌日の月曜日には、そんな会話を中高生と何度もしてきました。故障や体調不良で出走できないのは悔しいもの。自らの不注意が原因で、スタート直前の棄権は精神的に堪えます。自分で経験することで、それが身にしみました。

試合当日のケガは、体調がよいときに多いもの。競技に関わり、指導も治療もしてきた立場でわかりきっていることでした。今回の経験から、ケガの本当の原因は「欲」と気づきました。体(体調)、頭(思考)、心(精神)、3つのバランスが取れていることが大事。軽く走ってスムーズに体が動けば、もっと走りたくなります。スピードを上げるために、より強く地面を踏み込む。さらにストライドを伸ばすためにもっと前へ脚を動かそうとしたとき、肉離れは起こります。なまじっか好調だからともっと手足を遠くへと運ぼうとする動作が原因で、体の軸から近いところで手足を動かしていれば、ケガは少ないはずなのです。

球技の場合だと、遠くのボールに飛びつこうとしてケガをします。では、なぜ飛びつこうとするか。不調なときならあきらめる遠さでも、自分が好調だから届く気がしてしまい、手足を遠くへ運ぼうとして、ケガをするのです。

頭で考える以上に、体が動き、心が浮つくことが原因です。好調なだけではケガはしない。好調さを上回る欲が出たときに、ケガをする。好調だと気づいても、心の安定を持ち続けることが肝心です。わかっていてもやってしまうのが、人間なのかもしれませんね。

これぞ、ケガの功名。自分でケガをすることで、悔しさを知り、ケガのメカニズムをさらに深く考えさせられたのですから、有り難いことです。やってみないとわからないものです。

無観客試合の観客も体験できました。選手、監督・コーチ、競技役員以外の人の立ち入り禁止の会場に、選手として入場し、自分が走るはずだったレースを観ることができました。指導者からの檄もなく声援もなく、あるのは拍手のみ。これが「新しい日常」かと思うと、正直ゾッとします。

自分のためが、人のため

後から聞いた話ですが、娘の友人が私の姿を見かけてテンションが上がっていたのだとか。「友達のお父さん」が自分たちと同じウォーミングアップ場に現れて走り始めたのを見て、自分も頑張ろうという気になって、元気をもらえたとか、そんな話をしていたらしいのです。そのときの私に、彼女たちを励まそうという気持ちはありません。自分がやりたいと思ったことをやっただけのこと。それでもその結果として誰かの励みになれたのなら、それはそれで嬉しいことですね。

自分のためが、他人のためになる。まず自分が先にあっての循環でよいでしょう。人の為と書いて「偽」となるように、他人のために自分を犠牲にしてしまうことは、ときには偽善になりかねません。

やってみたいという気持ちは大事にしたいものです。結果はわからないし、人から制限されるものでもない。だけども自分でチャレンジするのは自由です。自分で自分に制限をかけたくはないですね。

- 鍼療室からの伝言 - 2020年10月発刊 vol.157

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