日出づるところ
太陽の光は東からやってくる。
それと関係があるのかないのか、物理学者や科学者のなかには原理原則を求めて東洋思想への理解を深める人もいるようです。
東洋の思想といえば、陰陽。
太陽からは明るさや情熱をイメージすることから「阳(ヨウ)」、その反対である暗さや冷たさには月があるので「阴(イン)」と略字で表記することもあります。
太陽と月、そのどちらが欠けても一日、一月、一年という単位にはなりえません。
マクロビオティックの創始者である桜沢如一氏は「宇宙の原理」として、「表があるものには裏がある」「表が大なれば、裏もまた大きい」と説いています。
山があれば谷があり、明るさがあれば暗さがあるというのは、自然なことですね。
感情のコントロール
表と裏という意味においては、感情面でも同じことが言えます。
うれしい・楽しいという陽性な感情があれば、寂しい・悲しい陰性感情もあって、どちらか一方だけではなくどちらも必要なものです。
辛いことや嫌なことがあったとき、なかなか立ち直れないという人がいますね。
現実としては私自身もそうですし、多くの人がそうだと思います。
そして、立ち直ろう、立ち上がろうとすればするほど苦しくなってしまうものです。
それは、理にかなっていない無理をしていることになるから。
マイナスから立ち上がれないのは、プラスを断ち切れないから。
つまり、逆に喜びや嬉しいことがあったとき、いつまでもそれを味わっておこうとするあまりにそれを手放せない傾向にあるようです。
なので、プラスのときに早めに切り替える習慣をつけていくことで、難しいマイナスからの立ち上がりも早くなってくるものなのです。
山の明るいところにいるときは、谷の暗いところのことは想像したくないもの。
これが「谷」を「欠く」と書いての「欲」。
欲という望みは留まることがありません。
一方で、「希(まれ)」に「望み」をもつことを、「希望」といいます。
ですから、自分が望みを求めるとき、それが欲望なのか希望なのかを判別する習慣ももつようにすると、多くを求めずとも、いまを大切にすることができるのかも知れません。
振りでもいいから、笑ってみる
スポーツトレーナーとして関わったある選手との体験です。
試合で僅差で勝つことができ喜んでいたのが、相手側から判定を不服としての申出があり、それが認められて再試合となりました。
当然のことながら、彼は怒り心頭。
そこで、少し落ち着くように話しかけてみました。
相手のペースに乗るんじゃない。
相手の妬みというマイナス感情に、怒りの感情を返してしまうのは、もったいないこと。
相手のおかげでもう1試合、自分の技を披露させてもらえることを喜ぼう。
100%でなくていい、1%でもいいから与えてもらった機会に感謝しよう。
試合会場ではとにかく笑っていよう。
笑っている振りをするだけでもいいから、と。
結果は、前回をさらに大きく上回る圧勝でした。
陰性感情に対し、対極の陽性感情を意識してみることで状況を変えることができるのです。
自分を客観視する
先の例では、私がそのようなアドバイスができたのは、極論すれば他人事だから。
別の言い方をすれば、客観的に見ることができたからといえます。
自分のことを客観的に見る。
これも、トレーニングすることができます。
最も簡単な方法は、言葉に書き出してみること。
まずは思うがまま、とにかく手を止めずにひたすらに書く。
そして、場を変えて見返してみます。
すると、まだ現実に起こってもいないことに不安をつくりだしているだけということに気づいたり、意外に簡単に解決法が見つかったりするものです。
渦中にいるときは熱くなっているもの。
一旦切り離してから冷静に見つめ直してみることで、心地よく温かい解答が導き出せるのかも知れません。
そこまできたら、手放して、信じてみましょう。
大丈夫、お天道さまはきっと見てくれていますよ。
圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー
西下 圭一(にしした けいいち)
新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。
年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。
自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。
兵庫県明石市大久保町福田2-1-18サングリーン大久保1F
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http://kei-shinkyu.com