【Vol.92】第5回 「端午の節句から、夏のはじまりへ」

健康的な生活の秘訣、それは季節感を大切に自然の中で生かされていることを感じながら、日々の生活をきちんと送ることです。

端午の節句

五月といえば「端午の節句」ですね。端午の「端」とは物事の展開するきっかけを「端緒」というように「はじまり」のことで、毎月の最初の「午(うま)」の日のことを「端午」というようになり、「午」と「五」が同じ響きであることから、五月五日を「端午の節句」と呼ぶようになったようです。 鯉のぼりが印象的なのですが、最近では見かけることも少なくなりましたね。鯉のぼりには、子の力強い成長を願う親の気持ちが込められています。中国では、黄河上流にある「竜門」という滝をのぼりきった魚は竜になれるとの故事があり、それほど勢いのあるのは鯉くらいだろうということになったようです。またこのことから出世のための難関のことを「登竜門」というようになったのだとか。さらに、吹流しには東洋の五行思想に基づいた五色にすることで魔除けの意味があります。まさに縁起物の象徴、鯉のぼりは後世へと残ってほしいものです。 この日にいただくものとしては、「かしわ餅」があります。柏の葉は古代には食器として使われていて、現代でも地域によって神様への供物の新撰をのせるものとして用いられています。また柏は古い葉になっても落ちないことから、家系の絶えない、子孫繁栄を願うという意味もあるようです。 そして、菖蒲湯の入浴。体を温めることと、強い香り成分によって邪気を祓うことの意味があります。菖蒲の葉が剣に見えることから、武士を敬う「尚武」の読みを当て、子どものための日から男の子の節句へと定着していったようです。 自然なかたちで自然に寄り添う環境にあったのが日本の伝統の素晴らしいところですね。

五月病の真実

この季節、体調を崩す人が続きます。春の入学、就職、移動など新しい生活環境に体が適応しきれないことが原因であることから「五月病」とも呼ばれます。疲労感、不眠、食欲がないなどに始まり、無気力や焦り、不安感といった精神の症状へと移行していき、医療機関を受診すれば「うつ症状」と診断されることがあります。また、理由もないのに発汗したり動悸が起こったりもすることから「自律神経失調症」と診断されるかも知れません。いずれの場合も検査での異常は見つからず、精神安定剤などを処方されて気休め程度に症状を抑えようとすることも少なくありません。 一方で、東洋医学的に全身を診察してみると、これらの症状を訴える人の多くは首や肩の凝りを抱えています。ですから、まずはこの首凝り・肩凝りを和らげていくことが大切になります。近年、パソコンでのデスクワークに加え、スマートホンの普及によって、下を向く姿勢でいることが長くなっています。さらに新しい環境でまだ自信がないことから、日常でもうつむいているのではないでしょうか。こうしたことから体を解放していくことが重要なのです。 下を向く姿勢のことを「うつむく」といいます。「うつむく」とは、「うつ」症状の方を「向く」のですから、その姿勢を続けることで「うつ」になるのも当然のことと考えられます。 仕事中なども15分から30分に一度くらいは天井を見上げて首をほぐす、スマホの利用時間を考える、上を向いてとまでは言わずとも真っ直ぐ前を向いて歩く。こうした小さな積み重ねが、自分を楽にするためのきっかけとなっていくのです。 さらに付け加えるならば、皮膚表面に静電気を発生させにくくするために、化学繊維のものを避けて、綿や麻などの自然素材の肌着を着用するようにするといいでしょう。

立夏

5月6日は「立夏」。暦の上では夏を迎えます。日照時間が延びて、木々は春の新緑から夏の万緑へと色を強めていきます。私たちも外出の機会を増やして日光を浴びる時間をつくったり、自然と触れることを生活のなかに取り入れていきたいものですね。 さぁ、健康な生活のための端緒は何にしますか?

執筆 圭鍼灸院 院長 西下 圭一
病院勤務を経て、プロ・スポーツ選手からガンや難病まで幅広い患者層に、自然治癒力を引き出していく治療を特徴とする。
鍼灸師、マクロビオティック・カウンセラー、リーディング・ファシリテーター。