つらい経験をすると、「あのとき〜しておけばよかった」「〜のせいでひどい目にあった」と、意識が過去に囚われてしまいます。強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合、後になってその記憶が、突然、非常に鮮明に思い出されたり夢に見たりする現象のことをフラッシュバックと云います。フラッシュバックが強く起きると、原因探し・後悔・反省などの思考が、嵐のように暴れだします。場合によってはパニック発作が起こることもあります。二度と経験したくないので、似たような状況を避けるようになります。ただし、多くの場合、過剰に反応するようになり、その後の人生が生きづらいものになります。例えば、父親の叱責がトラウマであれば、年上の男性全般に苦手意識を持ってしまい、緊張してうまくコミュニケーションが取れない、ということが起こりがちです。トラウマがなければ、仲よくなれたり、嫌なことは嫌だと言えたり、上手に甘えることが自然にできたかもしれません。このように、トラウマが現在の自分の生き方を不自由にしているのです。フラッシュバックが起きたときは、呼吸に意識を向けましょう。ゆっくり呼吸をしながら、今感じている「感覚」に意識を向けます。「今、鼻からヒヤッとした空気がはいってきたなぁ、今、暖かい空気が鼻から出ていっているなぁ」と「今」に意識を向ける練習です。フラッシュバック後の思考の嵐は、意識が「過去」に向いています。今に意識を向けると、その思考から離れやすくなります。うまくできないこともあるかもしれませんが、繰り返し練習すると、楽になる方法があるんだと自信がついてきます。
あれはあれで良かった
トラウマを軽くするために「あれはあれで良かった」と思ってみる練習をお勧めしています。過去に起きた事実は変更できませんが、その事実をどのように解釈するかは変更が可能です。トラウマを経験したおかげで得られたものに注目してみましょう。たとえば、嫌いな人に嫌なことをされた場合、世の中にはそんな人もいるんだなぁ、そういう人とは距離を取らないといけないよね、という気づきを得ることができます。また、同じような経験をした人の気持ちをわかってあげられるようになります。辛い出来事を経験することで、失ったものもあるかもしれませんが、得られたものもあるのです。
ここでは更にイメージを膨らませてみましょう。同じような辛い経験をした人に共感できるようになった、ということは、人に優しくなれた、ということです。それまでは気づけなかった心の傷が、自分の周囲の人にもあるかもしれない、と想像することができるようになります。その心の傷に触れないように、言葉を選ぶなど、配慮することができるようになります。人に優しくなると、敵が減って、味方が増えていきます。長い人生で、この状態が続くとイメージしてみてください。
逆に、もしトラウマがなく、人に優しくなれなかったとしたら?と考えてみましょう。普通に話しているだけで、気づかないまま、周囲の人の心の傷を刺激しているかもしれません。気がついたら、周りが敵だらけになっているかもしれないのです。辛いトラウマがあったからこそ、みんなに優しくなれるし優しくしてもらえるのです。つらいトラウマのおかげで得られた価値はプライスレスです。なにものにも代えがたい心の豊かさを受け取りましょう。つらい経験をしたあなたにはその資格があります。
今回のホ・オポノポノの祈りの言葉です。何度も唱えてみましょう。
ネガティブばかり見ていてつらかったね、ごめんね。すでに持っていた豊かさに気づかなかったね、ゆるしてね。本当はすでに無限大の豊かさを持っているんだよ、ありがとう。大好きだよ、愛しているよ。
※ハワイにおける、告白による和解と許しの習慣、社会秩序・家族関係を回復するための習慣、病気からの回復法・予防法