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オルタナティブファーム宮古

自然の恵みいっぱいの宮古島から農業や商品開発するなかで感じたこと気づいたこと

オルタナティブ
ファーム宮古 代表

松本 克也 (まつもと かつや)

自動車メーカーなど14 年の研究職を離れ、2012 年5月に家族4人で宮古島に移住。約1万平米の畑で主に有機サトウキビを栽培し、黒糖蜜やキビ砂糖などの加工品を製造。
畑で黒糖作りが体験できるプログラムも準備中。その他、有機バナナの栽培、未完熟マンゴーの発酵飲料の製造に携わる。

蟹蔵の環境保全活動

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宮古島のプライベートガイドで訪問する蟹漁師で食・学・体験ツアーを提供している蟹蔵の吉浜崇浩さんが続けている入江の環境保全活動を紹介します。

宮古島の海岸線には、伏流水の湧出によってサンゴ礁が発達しなかったか、あるいは石灰岩(サンゴの堆積層)が溶けてなくなってできた入江があります。海水と淡水が混じり合う汽水域には、潮に強い植物が群生したマングローブの独特の景観が作られます。緑に囲まれ、木漏れ日が水面に反射して輝くなかを、パシャパシャと水音をたてて分け入る散策は、素直に心地良いです。昔の姿を知らない僕らにとっては……。

一度は島を出た吉浜さんは、5年ぶりに伊良部島に帰ってきたときに、子どものころから知っていた風景が失われていることに衝撃を受けました。以前から農地の拡大や建築物の増加によって、入江の埋め立てや掘削が進んでいましたが、問題は周辺の自然林の消失に留まらず、土砂の流出や潮の流れの変化によって、『生命のゆりかご』としての入江の機能が失われてきていることでした。

空港職員として働いていた吉浜さんは、周囲の理解が得られないなかで、安定した職を手放します。そして、『マングローブの王様』と呼ばれる網目ノコギリガザミの蟹漁師として、入江の環境を取戻す取組を始めました。吉浜さんは「入江の役割や環境開発が及ぼす影響について理解すれば、人の考えや行動が自然に変わるはず」と話します。信念を持って粛々と行動を続けてきた吉浜さんの説得力は、かつて脅迫めいた妨害行為をしていた方が、いつの間にか支援者になってしまったほど。

今ではメディアからひっぱりだこの人気で、リピートのお客さんも多いようです。入江を散策したあとに、美しいビーチを目前にいただく美味しい蟹料理もありますが、1回の訪問では知り尽くせない入江と吉浜さんの魅力が溢れているからだと思います。

入江の環境保護について知ってもらうために(話題性もあり仕事として成立する)蟹漁を始めたという蟹蔵の吉浜さんは、もし入江にワニがいてそれが話題を集めるのなら『僕はワニ蔵でも良かった』というから、愛嬌たっぷりです。(後半に続く)

蟹蔵の吉浜さんと歩く入江は楽しい発見がいっぱい

- オルタナティブファーム宮古 - 2022年12月発刊 vol.183

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