生理期間のことを、わたしは「お姫さまの日」と呼ぼうといつも言っているのですが、それには理由が三つあります。
まずひとつは、単純に「生理」という言葉に染みついた「面倒くさい」「つらい」といったネガティブなイメージを払拭し、言霊として素敵な日にしてほしいという想いから。
二つ目は「お姫さま」と自分で言うことで、「お姫さまってどんな暮らし?」と、想像力を膨らませ、ゆっくりと自分を甘やかす過ごし方を習慣にしていけるようになるからです。生理中の子宮内膜が剥がれ出ているときは、怪我をしているのと同じような状態ともいえるので、できるだけ無理をせずに、ゆっくりと養生し、頭を使わず身体を温めて、やさしい気持ちで大切に過ごしてほしい。
そして、三つ目は、あなたが「お姫さま」のように過ごすことで、周りへも良い影響を与えるということ。特に子どもがいるお母さんは、常に子どもや夫のことなど、他の人のことを優先させて生活しておられる方も少なくありません。まじめな方ほど、家事や育児、仕事をがんばって自分のことは後回しになりがちなものです。確かにそうやってがんばることで得られるスキルや周囲からの信頼もあります。がんばれるときは精一杯やっていい。でも、月にほんの3、4日くらい、自分にやさしく甘やかす期間があっても良いのでは? 「お姫さまの日」こそ、それに最も適したときで、よい口実となります。お姫さまのような過ごし方をすることで、周りの家族にとっても精神的に育つ機会になり「性養育」に繋がります。
姫は姫であるだけでいい
「お姫さま」と聞くとどんなイメージがありますか? 重たいものは持たない。苦労することやツライことはしないで、周りの者たちが気を利かせて何でもやってくれる。しかも、それでいて愛され、ただそこに居るだけて有難がられる。そんなイメージではないでしょうか。もしもそんな人が身近に実在していたとしたら、単純に羨ましい気持ちになってしまいますね。でも、お姫さまは、憧れられても嫌われてはいません。(上から目線で命令する「女王様」は、たいてい嫌われます)。むしろ、周りの人たちはそんな姫のことを助けることや、なにか姫のために貢献できることが、喜びになっているのだから、お姫さまは、むしろなにもしないでいてくれることのほうが、周りのみんなの役に立ち、価値があるわけです。お家でも、子どもさんやパートナーの活躍できるチャンスを奪わないために、がんばらないお姫さま期間をつくってみませんか?
理に適う気持ちを持つ
こんなことを言っているわたしも、実は、昔から「女だから」と媚びるようなことは正直いって大嫌いでした。そして、月に一度、生理がある自分は、損な身体だとも思っていました。しかし、そんなわたしがいま、布ナプキンをはじめフェムケアを通して、女性の身体をどう楽しんで生きるかを伝えているのだから不思議です。人生はおもしろいものですね。
生理のことや性のことを否定したり、無頓着であればあるほど、身体はさまざまな症状で訴えかけてきます。「生理中だよ、忘れないでよ」「がんばらないで休んでよ」と。昔のわたしもずっと生理痛が重く、こなければいいのにと思っていましたが「人に迷惑をかけてはいけない」「自分だけズルして楽をしていると思われたくない」、その気持ちこそが、身体の理に適わないことに気づいてからというもの、人生が激変しました。
まずは自分自身が自分のことを「お姫さま」扱いすることから。生理をチャンスに暮らしを楽しんでみてください。きっと自分のことが大好きになりますよ!