便秘がちで肌荒れしやすいこともあり、ヨーグルトをよく食べるようにしているのですが、あまり改善を感じられません。そもそも、ヨーグルトは本当に体に良いのでしょうか?(一人暮らしを始めたばかりの新社会人)
A.体に合わない場合もある。重要なのは乳酸菌
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
ヨーグルトが体に良いといわれるのは、ヨーグルトを食べるとお腹の調子が良くなるとされているからです。お腹、つまり腸が良い状態だと、人間は健康でいられるということが科学的にも証明されてきています。ヨーグルトを食べるとなぜお腹の調子が良くなるかというと、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が、腸にとって良い働きをするからです。
腸には非常に多くの菌が存在しています。人間の体は約60兆の細胞からなるといわれますが、腸には100~120兆もの菌が存在しており、腸内フローラと呼ばれます。これらの菌のなかには、人間にとって良い菌と悪い菌、そのどちらでもない菌がいます。良い菌は善玉菌と呼ばれ、乳酸菌もその一種です。善玉菌は体の生理作用を高めたり、ビタミンなどの有益な物質を作ったり、人間を健康に導く働きをしてくれます。悪い菌は悪玉菌と呼ばれ、人間にとって害になる物質を生成する菌がそう呼ばれます。そして、善玉菌でも悪玉菌でもない菌は日和見菌と呼ばれます。日和見菌は、そのときどきで善玉菌と悪玉菌どちらかに加担します。これらの菌は、通常、ざっくりと善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7のバランスで存在します。腸を良い状態に保つためには善玉菌を増やすことが重要です。善玉菌が多いと、腸内の腐敗物質の産生が抑えられ、血液がきれいになります。血液がきれいだと、細胞もきれいになります。
ヨーグルトは乳酸菌を活用して、牛乳を発酵させてできるもので、ヨーロッパでは伝統的に食されてきました。ヨーグルトが世界的に知られるようになったのは、ブルガリアヨーグルトがきっかけです。これは、ブルガリア地方に長生きの人が多く、その理由を調査した結果、ヨーグルトをたくさん食べているからではないかといわれたのです。ただし、乳酸菌にもいろいろな種類があります。そのため、ブルガリアの人にとって良い乳酸菌が、世界中の人にそのまま良いとは限りません。
それでも、純粋に牛乳を発酵させただけのヨーグルトは発酵食品として良いものではありますが、市販のヨーグルトには、食べやすいように砂糖などの甘味料を加えたもの、保存性を高めるために殺菌したり添加物を加えたりしたものが多く、悪い面もあります。また、伝統的に牛乳を飲んできた、畜産文化のあるヨーロッパと違い、日本ではもともと牛乳を飲む習慣がありません。そのため、そもそも牛乳やヨーグルト、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が合わないという人もいます。
腸内環境を良くする食べ物は、ヨーグルトだけではありません。ヨーグルト以外の発酵食品にも、乳酸菌は豊富に含まれています。日本人に身近なところでは、味噌や漬け物などがそうです。ご飯と一緒に味噌汁を飲んだり、漬け物を食べたりすることで、乳酸菌を摂ることができ、腸に良い影響を与えます。わざわざヨーグルトを食べなくても、伝統的な和食を基本にしていれば、乳酸菌を十分に取り入れることができるのです。また最近では、大豆から作られたヨーグルトのような植物性の発酵食品も販売されているので、そういったもので乳酸菌を取り入れることもできます。
さらに、善玉菌を増やすには、外から取り入れるのではなく、もともと腸内にいる善玉菌を増やすという方法もあります。そのために有効なのが、海藻や穀物に豊富に含まれる水溶性食物繊維です。普段の食生活のなかで、海藻や穀物を積極的に摂ることによって、無理に乳酸菌を摂ることを意識しなくても、善玉菌を増やすことができ、腸の健康、体の健康を守ることができるのです。