自分のなかに眠っているネガティブな気持ちを全部紙に書き出すと心が軽くなります。普段私たちは「ネガティブなことはなるべく考えないようにしよう」「自分は大丈夫だ」と思い込む傾向があります。しかし、そう思っているとなかなか本音が出てきません。つらい過去を思い出すことで、心が傷つき、体の具合が悪くなることもあります。このような理由から、過去を思い出すことへの抵抗が生まれます。それでも、一歩踏み出して、自分のネガティブな感情を書き出してみましょう。特に両親それぞれに対して思っていることを書き出してみましょう。「されて嫌だったこと」と「本当はしてほしかったこと」を思いつくままに、なぐり書きでも、箇条書きでもいいので書いてみてください。

例えば、されて嫌だったこととして「〜されて嫌だった」「〜と言われて嫌だった」「あのときは本当に苦しかった」「否定された」「ルールが多かった」「厳しかった」「無視された」「逃げ出したいと思っていた」「〜がいなくなればいいと思っていた」など。そして、してほしかったことの例として「本当はもっと〜してほしかった」「〜を買ってほしかった」「こっちを向いてほしかった」「話を聞いてほしかった」「褒めてほしかった」「認めてほしかった」「大好きと言ってほしかった」「抱きしめてほしかった」など。

全部出すには、何日もかかることもあります。書いた紙やノートはだれにも見せないように注意しましょう。本当に言いたかったことを全部出せたとき、心がスーッと軽くなり、まるで生まれ変わったような感覚になるでしょう。

悩みや苦しみを抱えている人の多くが、敏感な体質を持っているようです。敏感さは人によってさまざまですが、次のような症状や感覚を持っていることがあります。めまい、たちくらみ、冷え、むくみ、のぼせ、腰痛、頭痛、トイレが近い、トイレにあまり行かない、気象病、音や匂いに敏感、耳鳴り、人混みで具合が悪くなる、車酔いしやすい、朝起きるのが辛い、疲れやすい、体幹が弱い、ビクビクしている、突然の大きな音にとても弱い、人の機嫌が気になる、などがあります。これらの敏感さを持っている人は、疲れたりストレスが増すと症状が悪化します。周りの人より具合が悪くなりやすいと感じている場合が多く、この世は生きづらいと思っています。

最近、「ビジュアルシンカー」という言葉を知りました。言語に頼らず、絵（図形）などの視覚情報を使って思考する人のことだそうです。現在の社会や教育は、言語によって伝えられる情報が大部分を占めるため、この社会を生きていくには「言語を使いこなさなければならない」と暗黙のうちに思わされているように感じます。そして、人によってさまざまな敏感さがあるのと同様に、物事の認識の仕方や思考方法も、それぞれに違いがあることに気づきました。敏感さという言葉を言い換えると「感受性の豊かさ」です。だれ一人として、他の人と同じ感覚で物事を捉えていないし、思考方法もまったく同じ人はいないことに改めて気づかされました。

ネガティブとポジティブを書き出すことも、人それぞれに方法があるはずで、自分なりの表現を探してみてほしいのです。言語だけでも、エッセイや物語、詩、短歌、俳句、外国語などさまざまな表現があります。ピカソやゴッホはビジュアルシンカーであったと考えられ、独自の感性で絵画を通じて、自分の思いを表現したのだと思います。絵画や音楽、ダンス、物作り、推し活、スポーツや冒険などに挑戦する生き様で表現する人など、無限の表現方法があると思います。ネガティブな感情を自分の得意な分野で表現してみましょう。「心のドロドロした部分を表現するとしたら？」と考えてみてください。しっかりと表現ができたとき、心が大きく解放されるでしょう。