「美味しく・楽しく・学べる」体験型観光としてサトウキビ畑をご案内するなかで、「へぇ~ほぉ~」とお客様から驚きや感心の声が上がり、納得していただくことが多いお話をご紹介します。
エネルギーを作り出す光合成
太陽光のエネルギーを利用するのは人も植物も同じです。人間は太陽光発電の際に光電素子※を使って電気エネルギーを取り出し、植物は光合成で葉緑体を使って糖を作り出しています。植物にとって糖は生命維持に必要なエネルギーです。あるときは細胞内に備蓄し、またあるときは生育のために消費して、年間の気候変化にも合わせて成長の過程で収支を合わせます。
サトウキビはやはり強い太陽が好き
大気中の二酸化炭素を取り込んで糖を作る光合成の仕組みにおいて、サトウキビはC4植物と分類されます。C4植物は亜熱帯系の植物に多く、C3植物と分類される一般の植物にはない特別な機能が与えられています。それはオプショナル回路(C4光合成/ハッチ・スラック回路)と呼ばれ、あらかじめ二酸化炭素を濃縮・貯蔵してから、通常の回路(C3光合成/カルビン・ベンソン回路)に二酸化炭素を送るため、より効率よく糖を合成できます。同じく砂糖の原料になるC3植物のテンサイと比べると、サトウキビの二酸化炭素の取り込み能力は2倍程度になります。
ただ、これは高温で日差しの強い熱帯・亜熱帯の環境でこそ発揮される能力で、太陽光の弱い地域ではむしろ、C4作物はC3作物に比べて光合成の能力が劣ります。
参考:斎藤祥治・内田豊・佐野寿和(2016)『改訂版 砂糖入門』日本食糧新聞社/杉本明・スズキコージ(2000)『サトウキビの絵本』農山漁村文化協会