12月号より、国産のサトウキビが本来の価値を正当に評価されながら、産業としても経済的に自立できる着地点を模索したい、というオルタナティブファーム宮古の志についてお話ししてきました。
この話の締めくくりとして、今回は、実際にオルタナティブファーム宮古ではどんな取組みを進めようとしているのか、ご紹介いたします。
一言でいうと、私たちは『サトウキビの魅力を伝える伝道者になりたい』という想いをもって、サトウキビ栽培~加工~体験案内まで、一連の取り組みをしています。
生鮮食品としてのサトウキビや一次製品としての黒糖の本来の美味しさには、根拠があります。通常、気づかれることはなくとも、土作りから苗の植付・培土・収穫・加工まで、理に適った先人の知恵と努力の積み重ねがあります。そして、紐解くと、そこには子どもから大人までが一様に「へぇ~」と感じる新たな発見・納得・感動が詰まっています。自然科学や伝統文化の一端に触れて、「美味しい」以上の価値・楽しさを感じてもらっているようです。
糖価調整制度の枠組みに当て嵌まらないために、原料価格・製糖加工費共に補助金は入らず、基本的に大勢に抗う取り組みで、今はまだ、持続可能な事業として成立する見通しを立てている途中です。市場・社会との対話を求め、都度、軌道修正しながら初志を大切に事業成長いたします。
大切にしている学びがあります。「自分が育てていると思うな。サトウキビが自身の力で育っているのです。そのための環境を整えることが、あなたの仕事です」これは自然栽培の大先輩からいただいた教えです。すべての恩恵は宮古島の自然にあり、私は、その恩恵・喜びを伝える伝道者なのです。
プレマ・宮古島プロジェクトの初オリジナル加工品。ミネラル豊富な純黒糖と沖縄県産のしょうがのみで作られた味わい深い濃厚エッセンス。
オルタナティブファーム宮古代表
松本 克也(まつもと かつや)
自動車メーカーなど14年の研究職を離れ、2012年5月に家族4人で宮古島に移住。
約1万平米の畑で主に有機サトウキビを栽培し、黒糖蜜やキビ砂糖などの加工品を製造。
畑で黒糖作りが体験できるプログラムも準備中。
その他、有機バナナの栽培、未完熟マンゴーの発酵飲料の製造に携わる。