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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.21】『未来の食い扶持を、今のために刈り取らない』

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01ga_13_2.jpg政府は追加経済対策を矢継ぎ早に発表しています。執筆日現在、追加経済対策は15兆円規模と胸を張っているようですが、今回の対策の財源の多くは建設国債や赤字国債によってまかなうことになり、すでに今年度の国債発行額(借金)が予定される税収(収入)を上回るという異常な事態に陥る見通しとなってきました。景気浮揚対策は国民にもっとも評価される政策の一つですから、内閣の支持率は高くなる傾向が顕著に表れています。当然、景気の低迷によって生活も事業も厳しくなっている方にとっては朗報であり、これを全否定するつもりはありませんが、私の「もう一つの見方」をご説明したいと思います。
 
私は経営者の方を対象にした小さな勉強会で講師の立場でお話することがあります。そんな席で私たちの事業を説明するとき、通販会社としては広告費の割合が非常に小さく、売上の目標も設定していないこと、さらに従業員にはノルマがないことなどを説明すると、一様に驚かれます。広く広告をし、売上の目標に対して強い営業をかけ、スタッフにはそれを達成するためのノルマを設定するのが経営の王道と言われており、私たちは逆のことをやっているのです。このような特異なやり方をするのには、私なりの理由があるからです。それは、『未来の食い扶持(ぶち)を、今のために刈り取らない』と考えているからです。

自然界には厳然とした法則に則ったサイクルがあり、今のために無理をすれば、そのツケは必ず未来にやってくることになるでしょう。過度な開発や環境への過剰な負荷は、私たちの子ども達の世代に強制的に引き継ぐことになり、彼らが生き続けられる可能性を狭める結果となることが明確になってきたので、世界は環境を大切にする意味を理解し始めました。最近では金融界においても、過剰なレバレッジをかける(つまり借金をベースに投資をする)ことは、ちょっとした歪みが起きたら、恐ろしい津波が一気に実体経済を飲み込んでしまうことを私たちは経験していますから、世界は無秩序なレバレッジに規制をかけようと検討しています。つまり、私たちは日々あちこちで起きることに学びを得ている筈なのです。『今のために未来の食い扶持(ぶち)を刈り取ると、酷い目に遭うだろう』と。

「百年に一度」の危機だから許されるだろうという見通しは決して健全とは言えません。私たち人間は、個人のレベルにおいて百年生きることは難しく、起きてくる強烈な災難のたびに「例外的なもの」としたい癖があります。私も事業を興し、幾度となく猛烈な災難とすごいチャンスに巡り会いました。災難の時もチャンスの時も、激しく動揺することなく、冷静に、遠い未来のために行動するのだと言うことを決意する訓練をされてきた機会ではなかったかと振り返っています。私はどれだけの災難やチャンスがやってきたとしても、ほんの数パーセント金利が上がっただけで収入だけでは利払いが出来なくなるほどの借金をすることはないでしょう。それは必ず未来に禍根を残すことになり、今の快楽のために、未来に開かれた可能性を閉じてしまうことになることが明確だからです。

環境も会社経営も、国家運営も、『未来の食い扶持(ぶち)を、今のために刈り取らない』決断が必要な時だと思うのです。

- 中川信男の多事争論 - 2009年5月発刊 Vol.21

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