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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

過去に縛られない

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弊社は1999年に創業し、今年は17年目を走っている最中です。仕事の実態からは少し乖離した「びんちょうたんコム」という名前は、創業後、最初にオープンしたウェブサイト「愛と叡智の紀州備長炭研究会」に由来しています。今年成人した長女のアトピー性皮膚炎は、どうしたら治るのだろうかという、単純かつ個人的な動機から、有効な素材の一つとして「備長炭」や「木酢液」と出会い、その可能性をお知らせしたいと付けた名前でした。

当時は炭やそれに関係する産物、さらに遠赤外線や食用炭化物などの炭と似通った性質をもち、体質改善に役立つ品を中心にお届けしていました。その後、食の重要性は自然療法には欠かせないと安全でほんもののおいしさをもつ食品を、また、個人の健康には環境の浄化が欠かせないと、安全な生活雑貨のご紹介をというように、カバー範囲を広げてきました。
現在では自社で開発した品だけでも一千品目間近に迫っており、単なる物販業ではなくなって、商品開発や貿易、事業者様への供給や農業までを守備範囲とするに至りました。

これだけをご説明すると「さぞかしご盛況で」と言われそうですが、実際にはそうでもなく、いろいろ厳しい状態があります。何より、ネットでものを売る店は激増し、価格は人工知能が設定するという時代になり、アメリカからやってきた黒船は、巨大な資金力を背景に大損をしてもシェアを圧倒して市場を制圧するという施策をとり、品物の背景にあるものやことはどうでもよい、ということになってしまいました。私たちは、私たちがご提供する品物ができる前にも後にも、多くの個人のストーリーや気づき、努力や涙があってご縁つなぎができていると考えていますので、数や規模を背景にした一方的な値引き交渉は一切していません。作る人、売る人、買う人やその周りの人がすべてハッピーになるという寝言のようなことを真面目に希求していますので、誰かが一方的に得をすればよいというところから離れるため、いろいろな意味で守るべきルールを自ら設定し、それを履行しています。

しかし、残念ながら時代の実態は真逆のほうがよほど売れて儲かるということを証明しています。ということで、弊社の供給量を見てみると、他社の名前の付いたものは価格競争の結果、じりじり落ち込みつつ、自社で企画したものがそれをなんとかカバーしているという状態です。

放っておいても歳をとる

もう一つ、大きなハードルは、自然食やナチュラルライフを求める平均年齢層は徐々に高齢化している、という事情があります。世界的に見れば、私たちが提案するようなライフスタイルや、それに関連する品物の流通は成長産業と認識され、確実に増えているのですが、日本ではどちらかといえば減少が続いています。直接、このような仕事をしていない人たちからは「自然食とかオーガニックというと、伸び盛りですよね」と言われ、そのような雰囲気の品はよく売れていますが、実際にはとてもナチュラルとはいえない代物が多く、「自然派」とか「ナチュラル」というコピーライティングだけが先行し、実態は伴っていません。強大なバイイングパワーをもつ商社や大手流通業者は何より安定供給を求めていますから、気候や職人の状態に左右されるようなものではいけないのです。

ほんものは自然の変化に沿い、丁寧に作られますから、時として品が足りず、それをカバーするために産地や生産者を固定することは売り手の首を絞めます。私たちが提供する品はどれも大量生産品の何倍、何十倍の時間をかけて作られ、そして価格はせいぜい数倍止まりです。こういう状況ですから、若い人たちにとってみれば、仕事としては面白くなく、買う側としても「もどき」をつかまされてしまったり、または若年貧困の問題とともに安くて早いものだけが多く消費されるようになったりしてきました。

私の最大の問題意識はここにありますが、今まで書いたような堅い話ばかりを振り回してみても、若い人には通じません。もっと入り口を低く、気がつけば本質と繋がっていた……という状態を作るべく、私が注目したのはジェラートです。

スローライフの国イタリアの伝統を背景に、低脂肪、低糖質で作られる氷菓は、若い女性も大好きです。陰性だ、身体を冷やすなどといって、入り口を狭めてしまえば、ほんものの素材を作ってくれる生産者も、私たちの仕事もお客様が年齢を重ねるたびに縮小していきます。誰もが笑顔になれる甘さやおいしさの陰に、不思議な糖質の世界、魅力的な脂質の世界、機能性をもつ素材の可能性が隠れています。自然食屋が本気でジェラートに手をだすなんて、正気かと言われそうですが、私は本気です。何より、私たちの拠点で作り出す品ですから、誤解を恐れずにいいますと祈りを込めることができるのです。ジェラートには空気とともに、氷の結晶が油脂と糖質の間に抱き込まれます。これを口にする全ての人に笑顔と幸せが訪れますように、良縁がありますように、健康が得られますようにと願うことは可能です。私も気がつけば長女が成人し、若いとはいえない歳になりました。身体に無理が利かなくても、私の思いと情熱を何かに載せることはまだまだ可能です。これは私たちがものづくりそのものに着手する起点です。私もチャレンジを続けます。どうかあなたも新しいチャレンジを、新しい年を迎える前に、妄想してみてください。

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プレマ株式会社 代表取締役
中川信男(なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。
1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。
保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

- 中川信男の多事争論 - 2016年12月発刊 Vol.111

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