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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.105】「あたりまえ」を超える

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私たちの生活では、蛇口を回せばいつでも、欲しいだけ水を使うことができます。「でも、無料じゃないよ」との声が聞こえてきそうですが、確かに上下水道は有料です。とはいえ、実際に行政に支払ってる料金のほとんどは、水道水として適した水質に水を浄化する費用、水を運ぶための上水道インフラの整備費用、そして、汚水を処理する下水道インフラと処理代であり、水そのものは無料といっても過言ではないでしょう。あれは19年前、私がネパールに住んでいたときです。当時、長女が産まれた直後で産湯をつかい、そして、布おむつを洗いたいと思っていましたが、そこは日本とは違い、水はとても希少なものでした。水道から水が供給されるのは午前中の1~2時間程度ですから、貯水設備を持たない家族は水が出ている間にだけ使い、あとはたらいや洗面器の水で生活します。それなりに裕福な家庭には貯水槽があり、ある程度水を貯めることはできますが、みなが一斉に使うので水量は乏しく、決してジャブジャブ使えるわけではありません。これは山の中の話ではなく、首都カトマンドゥの隣、古都として有名なパタンでの生活です。残念なことに、ここは昨年の大地震で壊滅的な被害を受けてしまいました。隣国インドの町中でも似たような水事情でしたから、私は小さなバケツ1杯の水でシャンプーから行水、ちょっとした洗い物までできてしまうスキルが身につきました。一昨年、ブータンの田舎に行った際も一人バケツ1杯の湯が供されましたが、私以外の日本人同行者はそれではとても足らず、石けんが残って気持ち悪いと嘆いていました。つまり、私たちは水にとても恵まれているのです。

たった0.01%の奇跡

地球上に存在する水のうち、人や動物が使うことができる水は、なんと約0.01%しかありません。図をご覧ください。ほとんどは海水として存在しており、このままでは生活には使えません。淡水はわずか2.5%であり、しかもほとんどは氷河として固まり、残りのほとんどは地下水ですぐに使えるわけではなく、河川や湖沼など人が利用しやすい水は0.01%という計算になります。たったこれだけの水を人は農業に使い、家畜に与え、洗濯をしたり、風呂に入ったり、そして飲んだりして暮らしています。

また、地球上の地域によって水は偏在しており、淡水をほとんど得ることができない地域も存在します。日本も決して充分な降水量を得られているわけではありませんが、山の木々のおかげである程度保水され、大半の場所では水に苦労するという状況にはありませんでした。しかし、最近では蓄積した開発の影響や野生鹿の個体数爆発により、森林は根こそぎ破壊されつつあり、土砂崩れや鉄砲水の被害が増えています。あたりまえと思っていることは、微妙なバランスの上になり立っていて、少し崩れはじめると留まるところを知らない状況も想定されるのです。熊本の大震災の影響もまた、中央構造線で繋がっている場所に飛び火していることからも、耐えかねる状況でいったんバランスを崩せばドミノ倒しの現象すらあり得ます。「何事もなく暮らせている」ということは、実に恵まれた奇跡の連続の中にあり、「あたりまえ」ではなく「とてもありがたいこと」なのです。

貴重な水を汚さない

弊社で販売している生活雑貨の多くが、水を汚さない、または必要以上に消費しないために役立つ品々であることは、私のこの危機意識とともに、実にありがたいこのバランスを崩さないことに貢献したいという気持ちがあるからです。もちろん、商品の販売上は「経皮毒(皮膚から吸収される毒素)にならないから安全で健康的」という論調が中心になりますが、これは極めてエゴな理由ともいえます。エゴの反対語はエヴァであり、より大きな命を大切にするための理由が必要です。日本ではオーガニックという言葉のイメージも狭義に解釈されることが多く、単なる個人的に健康になる食べもの、のようなニュアンスで捉えられがちです。ほんとうは農薬や化学肥料を使わないことは生物多様性を担保し、自然界のバランスを崩さず、環境自体が健康になる、その結果として私たちも健康でいられるという大きな連鎖を生かす運動なのです。私たちは、必ず、どこかで精妙に繋がっています。そんな繋がりを生かすために、まず他者(他の存在)を幸福にし、その結果として私も幸福になるという原則を、もう一度思い出してみたいと思うのです。

プレマ株式会社

代表取締役
中川信男
(なかがわ のぶお)

京都市生まれ。文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、
太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。
1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。
保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

- 中川信男の多事争論 - 2016年6月発刊 Vol.105

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