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インタビュー取材しました。

自然界は 「生産力」を持っている
農薬不使用・無投入・無肥料 自然農法 秋場農園 三代目 秋場和弥さんインタビュー

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自然農法とは、 岡田茂吉氏が提唱する、太陽(火)と空気(水)と地(土)の力のみによって栽培し、化学肥料・人育糞尿堆肥・農薬を一切使用しない農法のこと。北海道北見市で、 東京ドーム9個分(42 町=約42ha)の広大な畑で自然栽培を営む秋場和弥さんに、パワフルに続けてこられた原動力や、今後の展望について伺いました。

 

 

この世に誕生できたのは自然栽培のおかげ

1951 年北海道北見市生まれ。1976 年中央大学商学部卒業後、結婚。祖父の時代から続く農家を継ぐため妻とともに北見市に戻り、自然栽培に取り組む。家族経営農園としては日本で最大規模の面積を誇り、“畑には、その畑でできたものしか持ち込まない”いわゆる「無投入」を一貫し、無肥料、自家採種、輪作、緑肥などを組み合せ、農作物を栽培している。
妻の房子さんと二人三脚

 

 

 

―自然農法でどんな作物を育てておられますか?

秋場 ジャガイモ、大根、ニンジン、カボチャ、大豆、黒大豆、小豆、白インゲン豆などです。今年は順調で、すべて実りも良好です。

―自然栽培を選択したきっかけについて教えていただけますか?

秋場 1935年に自然農法宣言をした岡田茂吉氏の健康法に、両親と祖父母が共鳴したことからスタートしています。母が私を身ごもっていた当時、体調が芳しくなかったため、何とか生を受けられるように、自家用の米と野菜のみ、自然栽培で作り始めたのです。無事に誕生できた恩返しとして、この道に携わる運命だったのでしょうね。つまり、私の場合、「はじめに自然栽培ありき」なのです。

―最初から「自然栽培」だけをしてこられたということでしょうか?

秋場 そうです。当時、実家は慣行栽培で米作りをしていましたが、私が高校生のころ3年のうち2年が冷害でした。そこで「勉強で身を立てたいので大学に行かせてほしい」と親父に伝えると、お金は出せないと断られ、新聞奨学生として進学しました。

20年間、自家用の自然栽培に情熱をかけてきた歴史があったので、そのころ、親父も全面的に自然栽培に切り替えてライフワークにしようと決心したのです。水田休耕制度が始まった昭和46年のことです。私は、東京で新聞少年をしながら大学に通い、親父の作ったものを売るという3足の草鞋生活をしていました。大変でしたが、それが私の運命を決定づけました。その後、結婚し妻とともに故郷に戻り、自然栽培に本気で取り組み始めたのです。

―自然栽培をするうえで一番のご苦労といえば、やはり除草作業でしょうか?

秋場 そうですね。このごろは機械も技術も進化していますが、最終的にはやはり人力に頼らざるをえません。例えば、除草剤を1 回かければ済むところを除草機なら5回草を刈る。そのうえ、広大な42町の畑のうち三分の一ほどは機械が入れませんので、なおさら大変です。

―やはり時間と手間がかかりますね。

自然栽培は、大地の自然空間の途中にあるもの全部を取り込むわけだから、すごい営みです。肥料学者には肥料切れでいずれ何も育たなくなると言われましたが、私の代になって43年、手がけたものは確実に育っています。

糞尿堆肥を入れたりしたほうが確実に収量は上がりますし、特別栽培のように1年おきに農薬をかけたほうが経済的にも何とかなるでしょう。でも、楽なほうは選びたくない。このことで倒産するのであれば致し方ないと思っています。

 

起こることにはすべて意味がある

「人々と世の中が良くなるように、能力のある限り頭は使わないとだめだと思います」と、秋場さん。火山灰が体積してできた土地、河川が氾濫してできた土地など、粘土だったり小石が多かったりさまざまな特徴を持つ土壌を見極める。

 

 

―除草作業以外のご苦労は?

秋場 やはり天候に左右されるということと、顧客の開拓ですね。水害が起こると十分に供給できないため、お客様が離れてしまうこともあります。昨年の大洪水での被害をはじめ、これまで倒産しかかったことが、約3回あります。でも、その都度、救世主が現れました。ピンチによって、次のステージに上がらせてもらったというか、日本式にいうなら障子が開けたというか(笑)。

―意味があったということですね。

秋場 そうです。不思議な何かに守られていると感じられるのですが、ピンチを含め、起きていることすべてに意味があると思います。いつもプラス思考でいれば、必ずいい方向へいきます。困ったことが起きたら内省し、どこに問題があったのかを考えてみる。そして、気づいたことは前向きに改善していくと、「困ったこと」が困ったことではなくなってきますし、必ずそこに出会いがあります。そして、それがまた次につながる。ご縁の連鎖のなかで、私たちはこの世に〝 生〞を受けているはずです。

昨年は100年に一度といもいわれる大変な洪水のあった年で、今年も6月、7月は例年の3倍くらい雨が多かったんです。でも、土を見極め適した作物を植える「適地適作」を励行し、その雨を上手に取り込んだことで、最終的にはうまく見通しが立ちました。何も育ちそうにない水はけの悪いところでも、種を蒔けて除草機や収穫機が入って収穫が成功すれば、「適地適作」といえます。だから、土地をしっかり見極めて、適した作物を蒔く。次いで「適期管理」、そして中長期の準備と計画のなかで「適土作り」をおこないます。

「適地適作」「適期管理」「適土作り」。体験からこれらを「3つの適正化方針」と呼んでいます。この方針を基本原則にして日々の観察と対応をしていけば、失敗の少ない自然栽培ができます。

北海道の北見は、畑作、水田の最北限の地であり、冷害常習地帯。本当に大変なところなんですが、昨今の温暖化を追い風に、自然栽培として日本一の面積でおこなうことができています。いずれは、すべての圃場に「適土作り」を実現し、収量が横ばいないし微増することを目指しています。減収させないことが国家の百年の大計(※)における今の目標です。自然栽培を始めて今年で66年。あと34年経っても生産が維持される確信は持っています。それを息子たち後継者に伝えていくことが、今一番の仕事です。

※国家における終身計画のこと。元は「人を育てる」思想を指すが、転用され本来以外の計画においても使われる。

 

自然界は自らの復元作用で生産力を生み出す

おばあちゃん部隊7~8 人が1日がかりで除草
する。「働けることはありがたい」と、みんな口を揃える

 

 

 

 

―秋場さんの原動力はなんでしょう?

秋場  やはり「達成感」だと思います。これまでの体験から、通常通りの天候であれば、シミュレーション通りの収穫を得られるようになってきました。もちろん100年に一度の大きな水害などでは、その限りではありませんが。 働いて働いて体験的に学んだことは、「自然界は生産力を生み出す」ということ。荒れ地かと見まごうほど草が生えた翌年は、豊作になる。自然界が自らの復元作用で勝手に土を作っていくのです。

―今後の展望、これからの世代の方に伝えたいことは?

秋場  100年経ったときに、どの圃場も実りがあるというモデルケースを生涯かけて作ることが夫婦の目標です。単に「健康にいい」というだけでは面白くないので、本物の作物、野菜の味を作り上げたいと思います。本物の農産物が主流となることが、昨今の社会問題の解決への早道になるのではないでしょうか。

本物の味を知り、本物の野菜を食べることで本来の感性が育ちます。その原点の原点が、自然栽培。その自然栽培を担う人自身が、精神性が確立されていないとだめですよね。私たちも「自然栽培ありき」という精神性で、妻と心が一つだから、今日まで続けてこられました。あきらめて肥料を入れようとして、妻に「離婚しますよ」と脅されたことも(笑)。妻には感謝しかありません。

―感性を取り戻すためにも、本物を食べていくことが大切なのですね。

秋場  そうです。でも、自分が自然栽培をしているからといって「特別なものを用意しろ」というのは傲慢だと思います。よく勘違いされるのですが、私はなんでも食べますし、なんでも飲みます。

「除草作業」は、イコール「人力」。大切なのは、自分たちの健康管理と、手伝いに来てくれているおばあちゃんたちとの信頼関係です。毎朝6時半から夕方の5時半まで畑作業をしてもらっていますが、朝晩の送迎は必ず私がしています。平均年齢は75歳、最高年齢は85 歳!

母とも姉とも思えるような年齢の方たちですから、妻に対するものとは、また別の愛おしさがあります。「ありがとう」「明日もよろしくね」と言葉や態度に示して伝えることを心がけています。

現在、私は65歳。60歳を超えてから体力に自信がなくなりました。不死身だと思っていましたが、そうじゃないとわかり、おばあちゃんたちにも積極的に労いの言葉をかけるようになりました(笑)。生涯現役で取り組みたいので、今は「目の前の一年を乗り切る」ということだけを考えています。あの世に行く前日まで働き続けるのが目標です。

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