【Vol.89】セミナーレポート 今日からできる、自然なお手当て入門 第2回 熱の陰陽の話と手当て

2014年12月13日開催のご報告。熱をはじめとした体の反応と陰陽の関係性……ぎっしり詰まった講座内容をほんの一部ではありますがご紹介。詳しくはぜひ書籍or講座にて!

陰の病気と陽の病気

陰陽は比較の世界。比べることのできる知識と感覚が必要です。

 陰は上に向かうエネルギー、陽は下に向かうエネルギーです。このため体の上の方に出る症状は陰性が強く、体の下の方に出る症状は陽性が強いと判断できるそうです。 たとえばがん。がんそのものは増殖していく力が強い陰性な病気ですが、体のどこに出るかによっても違ってくるそうです。肺がんや胃がんのように体の上の方にできるのは陰性のがん、大腸がんや子宮がんのように下の方にできるのは陽性のがんです。陰性のがんは、砂糖やアルコール、あるいは果物など体を冷やす傾向のある食品を取りすぎていると発症しやすくなります。陽性のがんは、肉や魚、そして卵といった体を温める傾向のある食品を取り過ぎると発症しやすくなります。動物性食品は必要以上に体を温めてしまいます。日本でがんといえば昔は胃がんが多かったのですが、食の欧米化により最近では大腸がんが増えています。

陰性の熱と陽性の熱

 今回の講座のメインテーマである、熱のお話。熱にも陰陽があるというのをご存じでしょうか? 陰性の熱は朝からだんだん上がって昼2時がピーク。あまり高くならず、微熱でぐずぐずするような感じです。陽性の熱は夕方からどんどん上がって夜中の2時がピーク。子どもが昼間は元気に遊んでいたのに、ふと気づいたら真っ赤な顔をしていたということがよくありますが、これが陽性の熱だそうです。 ただしこれも目安に過ぎないとのこと。判断がつかないときは、両方のお手当てを試してみることを、吉度さんはおすすめしています。内服の場合、大人は一口飲んでみないと分からないことが多いのですが、子どもは好きな方を飲んでいいよというとまっすぐおいしい方を選ぶことが多いそうです。

陽性の熱の手当て

 今回の講座で紹介されたのは、内服の「第一大根湯」と「大根おろし汁入り玄米スープ」、外用の「豆腐パスター」と「青菜の枕」です。いずれも陽性の熱の手当てです。特に内服の2つは、冬から春にかけて、インフルエンザの流行る時期に、吉度さんが一番使ってきた方法だそうです。 これらの方法では、熱を取るために陰性の力を活用します。たとえば豆腐パスター。豆の中で一番陰性なのが大豆です。その大豆ににがりという極陽性なものを足すと豆腐になりますが、それでもやはり陰性です。それから小麦粉。小麦粉も陰性で、玄米と小麦粉とで指を入れ比べてみると、小麦粉の方がずっと冷たく感じます。同じように、陰性である葉物野菜の小松菜、円形野菜のキャベツ、また大根も根菜の中では一番陰性です。内服のお手当て法は口に入れるものなので、おろし器具などもなるべく金属やプラスチックではなくセラミックのものを使った方が良いとのことです。

内服による熱の手当て

 第一大根湯は即効性があり高熱に効きますが、その分体への負担が大きいので、頑強な人、陽性が強い人でないと向かないそうです。あまり丈夫でない人、陰性の人には、大根おろし汁入り玄米スープで手当てをします。玄米スープという陽性の穀物が加わることで解熱がゆるやかになります。 第一大根湯は量を半分にして、右肩の凝りや赤いぼつぼつとしたアトピーなど、熱ではない陽性の症状にも使えるそうです。右肩の凝りは肝臓が原因で、油を取り過ぎたり食べ過ぎたりしていると、肝臓を痛めてしまいます。肋骨の下に指を入れてみて、右の方が指が入らないという人は、肝臓が腫れているとのこと。そういうときは油物や炒め物を控えて、油を溶かしてくれる大根や生姜、青菜、豆味噌などを摂ると良いそうです。 玄米スープには、玄米クリームを使います。玄米クリームは腸の繊毛にはりついて吸収されるので、非常に消化吸収の良い食品です。がんの末期の方でも、最後は玄米クリームを食べていると痛みがなくなる、といった話もあるそうです。また風邪の治りがけには、玄米クリームを薄めたものなどを摂るようにすると、ぶり返しを防げます。風邪のぶり返しの原因として、粒で穀物を入れるのが早すぎるということがあるそうです。体調が戻ったと思っても、穀物を摂るのは少し後にして、消化吸収に負担をかけず、体を休ませることが必要です。それには、体内酵素をいかに上手に使うか、ということがポイントとなります。体内酵素の80%は消化吸収に、残りの20%は体のメンテナンスに使われます。断食が良いと言われるのは、その間、体内酵素の100%を体のメンテナンスに使うことができるからです。体を休ませるというのは、寝ていれば良いということではありません。いくら寝ていても、食べていたら体は休まりません。

外用による熱の手当て

 吉度さんがはじめて出会った熱の手当てがキャベツの帽子なのだそうです。4、5歳の男の子がキャベツを被って走って行ったのを見て、それまでは「熱が出たら薬」と思っていたので、カルチャーショックだったと言います。熱の手当てにキャベツを使う場合は、カットされていないまるまる1 個のキャベツで、食用としては捨てられてしまうような外側の緑の葉を使います。キャベツに限らずどんなものでも、内と外では内が陽で外が陰になります。だから熱の陽性には、キャベツの一番外側の陰性。その後吉度さんは、大森一慧先生の講座で小松菜を使う方法を教わり、キャベツより簡単なこと、また小松菜の方がより陰性なためか効きが良く、小松菜を重宝するようになったそうです。 青菜の枕は37度代の熱に。38度代になったら豆腐パスターを使います。ただ、子どもに豆腐パスターは冷やし過ぎてしまうので、基本的にはあまり使わないそうです。もちろん体格差や普段の食生活の影響、その時々の状況によっても違ってくるので、臨機応変な対応が必要です。 先生方の教えや本に書いてあることを鵜呑みにするのではなく、自分で判断していく力をつけることが必要だと、吉度さんは伝えています。子どもで豆腐パスターを使わない場合は、胡瓜などの夏の野菜で代用しても良いそうです。急ぐときは、豆腐を買ってきたらとりあえず切っておでこに貼り、後頭部に小松菜、あとは内服で応急処置になるそうです。きちんと豆腐パスターを作る場合は、寝ている間にずれたりしないように固定することも大切です。固定の仕方にもコツがあるので、ぜひ一度吉度さんの書籍などや講座などで学んでみてください。

なぜお手当てを学ぶのか

お手当てを学ぶ中で、病院に連れて行った方が簡単だと思うことがあるかもしれません。ですが、病院に連れて行く時間、診察を待つ時間などを考えると、実はお手当ての方がすぐにできて、副作用もなく、効果的だということが多くあります。今は情報があふれている時代です。基本的な知識を持つことはまず必要ですが、判断するのは自分だということを忘れないでほしいと吉度さんは言います。どこかの誰かが言ったことに振り回されるのではなく、自分で食べてみて、家族に訊いてみて、その反応を感知できる感覚を養うこと、身近なところで判断する癖をつけていくことがとても大切だと思います。

<らくなちゅらる通信編集部 河村>

『カラダにやさしい自然の手当て法』

著:吉度日央里
監修:大森一慧・加藤千枝

オーガニックライフスタイル・ジャーナリスト マクロビオティックインストラクター 「おいしい日央里書店」店主
吉度日央里(よしどひをり)
1960 年、静岡県生まれ。青山学院大学卒業後、主婦と生活社に入社。長男の重症アレルギーを機に退社し、3 人の息子をマクロビオティックの食事で育て、体の不調は手当て法でケアしてきた。尾形妃樺怜氏、大森一慧氏に師事し、故大森英櫻氏、山村慎一郎氏、岡部賢二氏らにも学ぶ。『一慧の穀菜食BOOK・手当て法』(大森一慧著・大森英櫻監修)、『美人のレシピ』(山村慎一郎著・中島デコ料理)、『発酵道』(寺田啓佐著)など、数々のオーガニック本の編集を手がけ、マクロビオティック料理と手当て法講座も行っている。編著書に『カラダにやさしい自然の手当て法』(パルコ出版)、著書に『種まき大作戦』、『かんたん!部屋で野菜をつくる』(サンマーク出版)がある。
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