腸内細菌は知っているのですが、最近よく耳にする腸内細菌叢とはどういったもので、どういう働きをしているのでしょうか。(腸活に興味深々の40代主婦)
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
免疫システムをも凌駕する健康と長生きの素
腸内細菌叢とは腸内細菌の集まりのことです。腸内細菌という言葉を知っていても、腸内に多くの細菌や微生物がいることを意識している人は少ないです。私たちの身体は細胞の集合体であり、約60兆個の細胞で構成されています。そして、腸内細菌は約1000種類、総数は100兆とされています。腸内細菌は種類ごとに集まって腸にへばりつくように生息しています。まるで種類ごとに咲いている美しい花畑のようであるため、腸内フローラとも呼ばれています。
ここで不思議に思うのが、身体には免疫システムがあり、細菌やウイルスが体内に入ってくると排除しようと働くはずなのに、腸内細菌が生息できるのはなぜでしょうか。それは腸内細菌叢が健康にとって非常に重要だからです。
昔は脳が最も重要だと思われていましたが、近年は脳より腸のほうが重要であることがわかっています。腸は多くの動物において重要な器官であり、進化の過程でも腸が先に発達してきました。ミミズのように腸はあって脳がない動物は多いです。一方、腸がない動物はいません。そして、最近の研究では、腸内フローラを整えることが健康のために重要であることがわかってきました。
腸内フローラを決定するのは食生活が大きな要因であり、食生活が腸内環境を変えることはわかっています。腸内細菌は大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つのグループに分かれます。理想的なバランスは、善玉菌が2、悪玉菌が1、日和見菌が7で、このバランスを保つことが健康にとって重要です。善玉菌はお腹の中で発酵のような人にとって都合の良い働きをしてくれます。一方、悪玉菌はいわゆる腐敗のような人にとって都合の悪い働きをします。善玉、悪玉というのは人間の都合で名づけられているだけで、自然界では腐敗がなければ動植物は分解されず自然に還ることができないように、悪玉菌にも重要な役割があるのですが、人間の健康のためには腸内で善玉菌が優位であることが大切だとされています。善玉菌が多いと日和見菌も善玉菌側につき、腸内環境が整います。善玉菌の代表的な乳酸菌やビフィズス菌を増やすために、これらの菌が喜ぶ食生活を心掛けるようにしましょう。
そのためにはまず水溶性食物繊維を摂ること。水溶性食物繊維の摂取によって善玉菌が増えることは科学的にわかっていますので、少量でも良いので毎日の食生活に取り入れましょう。玄米、こんにゃく、ごぼう、海藻、きのこ、オリゴ糖に多く含まれています。次に発酵食品。ヨーグルトなどに乳酸菌が多いといわれますが、日本人が昔から食べている漬物も発酵食品で乳酸菌が非常に豊富です。納豆もナットウキナーゼという酵素だけでなく食物繊維も豊富なので腸の健康にとても良いです。
食事だけでなく、普段の生活でも腸内環境を整えられます。体を温めること、適度な運動、深い呼吸が腸内環境に良い影響を与えます。入浴のときには湯船にゆっくり浸かる、散歩をする、腹式呼吸を意識すると腸の動きを活発にします。
このように自分自身の腸内細菌叢を意識して、日々の食生活や生活習慣を見直してみてください。腸内環境を良くすることで、健康で長生きすることができます。