洞察を得る

原因がわからないときは

不快な感情が度々浮かんでくる、同じような経験を何度も繰り返しているといった状態だと、原因や理由を理解したくなるものです。過去の体験や記憶の何かが現在に影響を及ぼしているのだろうか、潜在意識に否定的な観念があるのだろうかなどと推測したりします。それらを特定して改善に導くという方法が有効に働くことはありますが、適切な導きなしに、自分ひとりでおこなうのは難しいこともあるでしょう。答えが見つからず考え込んでしまうかもしれません。

そういう場合は、原因をわかりたい気持ちを手放すことを試してみることをお勧めします。そして、その問題について自覚される感情も解放していくのです。今の気持ちを認めて手放すことは、原因を特定する必要がなく、あまり頭を使わずにできるシンプルな取り組みなので、ひとりでも実行可能な場合が多いです。

問題の原因を理解したいという気持ちの前提には、理解しないと同じ問題がまた起こるだろう、という想定があります。実は、その想定が同じ問題をまた作り出すのです。意識は想定・予期・イメージした体験を作り出すからです。

原因をわかりたい気持ちを解放すると、この状態から抜け出し、これまでの自分や現状を客観視することができ、必要な洞察を得やすくなります。

 

わかりたい気持ちを手放す

「なぜ」「どうして」など、原因や理由を理解したいと思っていることがあれば、それに意識を向けてみましょう。そのことについて「わかりたい、でもまだわからない」という気持ちに注目します。把握したい、つかみたいという感覚が身体(頭・胸・腹など)にあるかもしれません。その感覚をそのまま許容し容認してみます。そして、握り締めた拳を緩めるように、ふっと力を抜いてみましょう。イメージや意図だけで解放は起きますが、手でそのような動作をしてみると体感しやすくなります。わかりたい気持ちを一旦手放すことは、問題について考えることを止めてしまうことや、理解をあきらめることではありません。今この瞬間は、考え続けるのを休止してみるという意味です。何度か繰り返し、いくらか緩んだら、同じ問題をまた意識してみます。まだわかりたい気持ちがあれば、それを認めてから放します。 頭が静かになる、思考活動が緩やかになる、などの感覚が現れてきたら、その静穏を味わい、しばらく寛ぎます。それから、その問題についての見方がどうなっているか観察します。

 

手放すと意識が広がる

手放すことで囚われていた思考の範囲から解き放たれます。新しい発想が現れるスペースができます。高い視点に立つことができ、洞察を得やすくなります。

抱えている問題や課題について、どう対処したらよいかを知りたい、解決策を見つけたいというときにも、同じ方法が役立ちます。わかりたいけどわからない、わからないから解決できない、という堂々巡りから抜け出すと、良いアイディアがふと浮かぶ、見聞きしたことからヒントを得る、他者の考えや視点を適切に参考にする、などが自然に起こる状態になるわけです。

「問題は、それをつくりだしたのと同じレベルの意識によって解決することはできない」という、アルバート・アインシュタインの名言があります。あることを未解決の問題だと感じている意識のままでは、解決方法を見つけることはできない、まず意識を上げる必要がある、ということです。「わかりたい」という気持ちを手放すことは、そのための一歩になります。

 

セドナメソッド認定コーチ
安藤 理(あんどう おさむ)

制限的な感情を解放し心の自由を生み出す手法の翻訳書「人生を変える一番シンプルな方法―セドナメソッド」監修者。日本で唯一、米国セドナ・トレーニング・アソシエイツから認定されたセドナメソッド・コーチ。
電話等での個人セッション、東京と関西でセミナーやセッションを実施している。
http://andoo.info