以前の記事(vol.59思考に気づく)で「想念観察」という方法を紹介しました。最近、久しぶりに思い出し、眠れないときなどに想念観察をしていて気づいたことをシェアしたいと思います。
その前に、まず想念観察の方法を紹介します。思考していることに気づいたら「~という想念が流れた」という言葉を唱えます。通常、思考の後に続いて、嫌だなぁとか、不安な感じとか、イライラ・怒り、ときには喜びなどの感情がやってきます。その大半は、マイナス感情を伴っているでしょう。想念観察は、感情や感情が出る前の思考に気づき、「~という想念が流れた」と言うことで、それ以上の思考や感情が続くのをストップさせる方法です。
また、想念観察は自分を徹底的に客観視する方法でもあります。想念観察を続けていると、思考しているのは自分(自我)ですが、その思考をただ観察しているだけという存在も、自分の中にいることに気づきます。想念観察の真の目的は、「本当の自分(真我)とは、思考している自分(自我)ではなく、思考や感情を伴わずにただ観察しているだけであり、ただ感じているだけの存在なのだ!!」と気づくことにあります。
想念観察に慣れてくると、次々にやってくる思考や感情を、ただただ「流す」という状態になります。流れてくる思考に対して、何の評価も価値判断も加えずに、ただ「~という想念が流れている状態を見ているだけ」という観察者になりきりましょう。
思考や感情を「電流」と捉え自己を客観視する
想念観察は「今」に居続ける方法でもあります。思考は過去の情報や未来への不安でできています。過去と未来のことは思考することができますが、今を思考することはできません。「~という思考が流れた」は「~という思考が『過去に』流れた」という意味を含みます。観察しているのは、今この瞬間です。観察しているときは頭が過去や未来に行くことはありません。
今回、想念観察をしていて、より効率よく思考や感情を客観視するために、少しずつアレンジしてやってみました。思考や感情は、脳の中では、神経細胞を流れる電流や、神経と神経の間(シナプス)をつなぐ、神経伝達物質の反応によって起きています。極論すると、思考や感情は、電気と化学物質の反応で起きています。これを想念観察と組み合わせてみようと思いました。「~という思考が流れた」という言葉を「~という電流と伝達物質が流れた」にしてもいいのではないかと実践してみました。言いにくいので「~という電流が流れた」と省略して繰り返してみると、いろいろなことに気づきました。
私たちが普段、現実だと思っているこの世界は、私たちの脳によって認識されています。脳は五感を通して、この世界を感じています。しかし、この五感は脳の中では、前出のように、電流と伝達物質の反応で起きています。例えば、夢を見ている時も脳内の電流と伝達物質の反応で、いろいろな景色や人物、心理的な反応が起きます。実は、脳にとって現実も夢も、電流と伝達物質の反応がいろいろな感覚を引き起こしているということに違いはないのです。映画のマトリックスの世界も、この事実を壮大なストーリーにしています。
本当の自分(真我)が、ただ脳の電流と伝達物質の反応を感じているだけの存在であるなら、現実に起きていると感じていることに、特に意味はないかもしれません。更にいえば、現実と思い込んでいることさえ、実は単なる脳の電流と伝達物質の反応でしか無く、本当には何も起きていないのかもしれません。夢も現実も何ら変わりなく、夢だと思っていることが現実で、現実だと思っていることが夢なのかもしれません。
遠離一切顛倒夢想という般若心経の一節はこのことを指しているかもしれません。(続く)
統合医療やまのうち小児科・内科医師
山内 昌樹(やまのうち まさき)
小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。
YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。
お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
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