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インタビュー取材しました。

片付けで 「今」と向き合う
整理収納アドバイザー 野中 真規子 氏 インタビュー

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年末を迎え、自宅や職場の大掃除をおこなうことの多い季節となりました。この季節は、日々の忙しさに追われ散らかしたままだった場所を片付けるチャンスです。せっかくなら、なんとなく掃除をして終わりというのではなく、新しい年に良いスタートを切れる空間を作っておきたいもの。片付けには心身ともに影響するさまざまな効果があるといいます。整理収納アドバイザーとして、片付けに悩むさまざまな人のサポートをおこなっている、野中真規子さんに伺いました。

整理収納アドバイザー
野中 真規子(のなか まきこ)

茨城県生まれ、東京都在住。4人家族で51平米の賃貸住まい。物の多い家に育ち、幼少期から片付けを模索。2001年よりライターとして活動しながら整理収納アドバイザー1級を取得、現在は一般宅の片付けサポートも行う。心の片付けもライフテーマとし、コーチングや九星気学による「対話セッション」も実施。著書「かたづけられない、という『思い込み』をなくして、今すぐ片付けるための本」(ハウスキーピング協会)。ホームページ https://www.makikononaka.com/

片付けで心や体、運勢までも変化する

――野中さんが片付けに興味をもったきっかけはなんだったんですか?

野中 きっかけはいくつかあるのですが、最初のきっかけは、3歳くらいのころからなんとなく散らかっているのが苦手で、片付けが好きだったことです。タオルが散乱していたりすると、「ものがかわいそう」と感じた記憶があります。また、子どものころからシンプルなもの、ものが少ないほうが好きでした。小学校のとき、「好きなごみ箱を買っていいよ」と親がインテリアショップにつれて行ってくれたことがあるのですが、キャラクターのイラストや花柄のごみ箱などがあるなかで、白い無地の筒形のごみ箱を選んで、親からしたらこんな小さい子がこんな地味なものを選ぶんだって、笑われた記憶があります(笑)。そういったことが大人になっても続いていました。

――片付けのサポートの仕事はいつ始められたんですか?

野中 2016年に整理収納アドバイザーという資格の一級を取ってからです。もともと私は2001年からフリーライターとして活動していて、ライフスタイル雑誌の仕事で、断捨離などで有名な方に取材する機会が多かったんです。そこで、きちんとしたメソッドがあると根本的に片付くということに気づきました。というのも、子どものころからずっと片付けが好きで、ものが散らかったらこまめに片付けていたのに、日常生活のなかではすぐに散らかってしまうんですね。当時の私の片付けは、根本的な解決になっていなかった。また、結婚して子どもが生まれてからはものが増える一方で、なんとかしたいと思っていました。そこで資格を取り、自分だけでなくほかの人にもアドバイスをしたいと、片付けサポートの仕事を始めました。

――その以前からライターをされていたのは、なにがきっかけだったんですか?

野中 中学生のころ、好きなバンドが出ていた音楽雑誌がきっかけでした。その雑誌はライターがすごく表に出る雑誌で、ライターになれば好きなバンドに会えると思ったんです。短大を卒業して、いったんは証券会社に入社したのですが、ライターになりたいという想いがずっとあって、編集プロダクションに転職した後、広告制作の会社を経てライターとして独立しました。それが、子どものころから好きだった片付けにつながっているのは、おもしろいですね。

――片付けサポートは、どのように進められるのですか?

野中 最初にカウンセリングという形でお話を伺います。どのくらい散らかっているかとか、どの程度まで片付けたいかというのは人によって違うので、まずはそこをすり合わせます。可能なら実際に部屋を見せていただき、難しければ写真などを見ながらお話しします。そして片付けの方法を提案しながら、モチベーションを上げる話もします。片付けをすることで、空間がすっきりするのはもちろん、心に作用したり、痩せたりという効果もあります。また、お金に影響したり、開運や風水的な意味もあります。いろいろな側面があるのですが、その人にとって一番モチベーションが上がる話をしています。コーチングの手法を取り入れたり、九星気学という運勢学の話をすることもあります。

片付けとは、自分の心地よさを実現するもの

――実際の片付けはどういうふうに進められるのですか?

野中 カウンセリング後、希望に応じて気になる箇所を一緒に片付けます。最初に収納などからものを全部出し、「使う」「今後使う」「迷う」「捨てる」に分けます。「捨てる」ものは処分、「迷う」ものは箱などに入れあえて目立つ場所に置き、邪魔に感じたら捨てるようにします。「使う」、「今後使う」ものは取り出しやすい位置にしまいます。この際、よく使うものは目線から腰高の位置、引き出しなどに入れる場合は手前にしまうのがコツです。私の片付けの特色は「機能第一」。よく使うものは出しっぱなしにしたり、細かく分類しすぎずざっくりしまう、というのがポイントです。

――片付けにおいて、「捨てる」というのは一番迷うところだと思うのですが、うまく捨てるコツはありますか?

野中 「捨てられない」には2通りあって、ひとつは過去への執着、もう一つは未来への不安です。この2つを消すことが、捨てるコツです。過去への執着は、たとえば、高かったからとか、頂きものだからとか、昔気に入っていたからとかですね。未来への不安は、痩せたら着られるかもとか、食品の過剰なストックなどです。それらが一概に悪いわけではありませんが、過去への執着や未来への不安から捨てられないものが今の生活を妨げているとしたら、過去や未来に捕らわれて今をないがしろにしているということになります。なんでもかんでも捨てるというのではなく、捨てるというのは、自分に「今」必要なものを考え、ものとの関係性を考えることだと思います。

特にメンタルが落ちているときは、捨てる気力がなくなりがちです。そうするとどんどんものがたまって、余計動きたくなくなり、悪循環に陥ります。そこで一個でもなにかを捨てることで変化が起きます。

――自分のものでなく家族のものが多かったり散らかったりして困るということもあると思うのですが、そういった場合の対処法はありますか?

野中 一番多い相談ですね。実はそういうときこそ自分のものを片付けたほうが良いんです。うるさく言うほど相手は心を閉ざしますし、自分にとって価値のないものが相手にとっては宝物ということもあります。それよりも自分のものを片付けていると、意外と相手のものが気にならなくなるんです。私自身も経験があるのですが、改めて片付けてみると、自分のものを片づける余地が意外とあります。自分のものを片付けていると、自分が気持ち良くなって、相手のことが気にならなくなるんです。そうすると、不思議と相手も片付けはじめたりします。

これは人間関係にも通じていると思います。誰かに対してカチンとくるときというのは、実は自分の問題を刺激されていることが多いんです。自分の問題を目の前にしているから、その人のことがすごく気になる。だから、そういうときは自分の問題をクリアするのが良いのではないかと思います。

――ものを捨てた直後に「やっぱり必要だった」という経験がある人も多いのではないかと思うのですが、そうならない注意点はありますか?

野中 片付けって最初は大胆に捨てることが気持ちよくなるところがあるので、そういうことも多少あると思います。ただ、必要になったらまた買えるものは多いですし、買えないようなものだったらそのときは落ち込むかもしれませんが、片付けで空間がすっきりして便利になったことは変わらないわけです。そして、片付けを続けているうちにそういう失敗はなくなる気がします。それは、自分の好きなものとか、必要としているものがわかってくるんだと思います。

「機能第一」の片付け。よく使うものはしまわず手に取りやすい位置に置いている

――年末は大掃除などで片付けの機会が多いと思いますが、順調に進めるためのポイントはありますか?

野中 最初にモチベーションを上げることが大切です。

片付けにはいろいろな効果がありますが、そのひとつが、心の安定です。片付けをすると、空間がすっきりして見た目が良くなり、なにがどこにあるかわかりやすく使いやすいので機能性が上がり、ものが崩れたり倒れたりすることがなくなり安全です。見た目・機能性・安全の3つが整うと、心が安定します。これは私自身の経験ですが、部屋が片付いていると、なにかトラブルが起きても、焦らず対応できるようになります。

ほかにも、片付けの効果はいろいろです。ひとつにはお金。たとえば冷蔵庫にものが多すぎると、賞味期限切れで捨てないといけない食品が出がちです。あるいは洋服が多すぎて、同じ洋服を買ってしまったり、しまい込んだ服を虫が食ったりして捨てないといけないということもあります。片付けをすることで、そうやってお金を無駄にすることがなくなります。また、片付けあるあるなのですが、片付けをしていると忘れていたところからお金が出てくることが多いです。

片付けは開運にもつながります。開運というのはスピリチュアルなものだけではなく、私は、その人がその人らしく快適な状態でいられるということが、開運だと思っています。それには部屋が片付いていることが大切です。

ほかにも、片付けで痩せるという話も聞きます。それは多分、部屋が片付いているとフットワークが軽くなることが関係していると思います。部屋を片付けて、やりたかった趣味を始められたとか、希望の仕事に転職できたといった声も聞きます。

そういった片付けの効果から、自分のモチベーションを上げる要素を見つけてみてください。今は片付けに関する書籍やネットの情報がたくさんあるので、そういったものを読んでモチベーションを上げるのも良いと思います。

野中さん宅の台所。料理をよくする人は、台所から片付けに着手すると変化を感じやすいかもしれない

――大掃除のような大がかりな片付けの効率的なやり方はありますか?

野中 一カ月を一週間単位で分けて片付けると良いと思います。一週目は台所、二週目は洗面所・浴室という感じです。できれば四週目はそれまでにもれたところを片付けるという感じで。一週間単位なので、毎朝5分でも良いし、夜でも良いし、土日にまとめてやるのでも良い。無理のない範囲で進めてほしいです。大掃除だから劇的に片付けようと思わずに、無理のない範囲でやることが大切です。年内に終わらなくても、旧暦の新年までにできればOKという考え方もあります。実際、私は毎年旧暦を目安に余裕をもってやっています。

――無理をせず、やる気になって取り組むことが大切なんですね。

野中 片付けは特別なことではなく、体を洗ったり洗濯をしたりするのと同じような、生活のケアだと思います。たとえば、部屋の隅のほこりが気になったらそれを取るのでも良いし、タンスの中がぐちゃぐちゃで気になるならそこを整理するのでも良い。自分が不快に思うところ、気になるところから始めれば苦にならないと思います。ただ、一気にやるほうが良い人と、少しずつやるほうが良い人とがいるので、自分に合った方法でやるのが一番です。

大掃除も、掃除をしなきゃダメと思うのではなく、きっかけのひとつとして利用すれば良いと思います。できなければ別の機会でも良い。嫌々ではなく、自分が心地よくいられるための片付けをしてほしいです。

- 特集 - 2019年12月発刊 vol.147

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