魔法のことば
~ずっとずっと大昔、人と動物がともにこの世にすんでいたとき~
みなさん民話をご存じでしょうか? お気に入りのお話はなんでしょうか? 舌切りスズメの大きいつづら派、イソップ物語では迷わず金の斧派という欲深い私は失敗と教訓の宝庫で(笑)、外遊びの親子会や地域の小学校で、世界の民話の素語りをしています。私がとくに好きなのは西アフリカと、日本の木の精霊話です。民話には笑いや涙、ときには残酷さも含まれた生きていくたくましさが描かれています。
私は乳児期からアトピー、アレルギーがあり苦しんだ時期があります。エンドレスの痒みと痛み、症状の繰り返しでゴールが見えない毎日。多くの人がなにを食べても使っても大丈夫なのに、どうして自分は?と親や人様までもを憎みたくなるようなネガティヴループに入り込む始末でした。ついには薬の効果が感じられなくなって、しかもドクターには一生治らないと宣告され、まさかアトピーで学業や仕事ができなくなるとは思ってもみませんでした。けれども今では、後遺症も忘れるほど元気に過ごしています!
とことんネガティブの先は新しい世界でした。今まで正しいと思っていたことがそうではない、真逆の世界。正しさというのは砂時計のようにいとも簡単にひっくり返るということを体験して開けた世界でした。
「治らない」宣告があったおかげで自分自身の持つ力を知り、思い込みを手放すことができました。そして数年に一度症状が噴き出すことがあっても、どう過ごして回復していくかをイメージできるようになりました。弱りきった自分の土壌をデトックスして、よりよくバランスを整えていくのは、畑作業と同じように感じます。アレルギー症状を引き継いだ子どもも大きくなるにつれて症状が改善して、流感(インフルエンザ)の季節に学級閉鎖になっても、誰一人かからず、今では関西でいうところの「◯ホは風邪ひかへん」というわが家です。
ちなみに冒頭の一文はエスキモーに伝わる一遍の詩をもとに訳された「魔法のことば」というお話です。いにしえの人々が言葉、音のパワーを知り尽くして大事にしていたことがわかります。民話を語るごとに、先人の知恵がいつでも新しく呼び起こされます。
プレマルシェの店頭にも民話と同じように、ストーリーと知恵が凝縮された品々があります。ぜひ手に取って、パワー溢れる懐かしくも新しい世界を開いていただけたら嬉しいです!
プレマルシェ・オーガニクス
島野 聖美
(しまの きよみ)
好きなことは水泳、ピアノ、登山、自転車、ヨーガ、乗馬、ヴァイオリン、太極拳、畑作業。次は謡(うたい)にトライしてみたいと思う好奇心人間。ウサギのしろぴーちゃん、3人の子ども、パートナーと京町家暮らし。