前号では9月の渡米で学んだゲルソン療法と統合療法を実践するバイオケア病院※についてお話ししました。
アメリカから車で30分ほどで行き来できる距離にある、国境付近のメキシコには、入院設備が整った統合医療の病院が数多く存在します。
アメリカの法律の縛りを受けず、人件費や物価が安く、オーガニック食材が豊富に手に入る土地柄が、代替療法を施す場所として適するのでしょう。
バイオケア病院もその一つで、癌や自己免疫疾患などの難治性の病気の治療から、慢性疲労やアンチエイジングまで幅広く手掛け、西洋医療(主に高濃度ビタミンC点滴)やデトックス、さらに鍼灸やアーユルヴェーダなどの伝統的な療法を取り入れ、個々にあった治療をおこなっています。
食事はヴィーガンに限らず柔軟に動物由来の食品を用いることがあるようですが、オーガニックが基本です。
私がバイオケア病院の見学を希望した一番の目的は、生きた血液を顕微鏡で観察する「血液観察」のパイオニアであるフェルナンデス先生がいらっしゃったからです。
アンチエイジングドック
私の京都のクリニックでは、侵襲(体へのダメージ)がない、もしくはほとんどない検査を取り揃えています。
また、不調や病気の症状のみに焦点を当てた薬で抑えるだけの治療は不十分、場合によっては不適切と考え、不調の本当の原因を探し出し、根本的な改善指導をおこなう「栄養外来」を開設しています。
不調の原因を探る材料として、血液検査や尿・毛髪検査などから徐々に種類が増え「アンチエイジングドック」としてまとめて現在に至ります。
具体的には、分子栄養学的視点に基づく栄養血液検査と遅延型フードアレルギー(IgG)検査、短時間ヘッドホンを被るだけで全身の各組織や細胞固有の波動を拾い上げ、どこがアンバランスなのか、さらに「なぜ」アンバランスが起きているのかを教えてくれる「メタトロン(量子波動器)」、体内の重金属の蓄積状態とミネラルバランスを調べる「オリゴスキャン」や「口腔内水銀測定」、最近マスコミで話題になった最終糖化産物を測定する「AGEリーダー」、指先で血流を見る「Bscan」、血管年齢(CAVI)、動脈硬化のリスクの指標となる血管内皮機能検査(FMD)、そして一滴の血液を指先から採取し、その場で顕微鏡で観察する「血液観察(当院では血液プロファイリングと呼んでいます)」などをおこなっています。
進化する血液プロファイリング
「アンチエイジングドック」内のほとんどの検査は数値化された結果を読み解くことで解析が可能です。
しかし「血液プロファイリング」は、一滴の血液から糖や脂質、たんぱく質の摂取と消化の状態、薬や食品添加物など血液中の異物や貧血状態、酸化ストレスや体内の必須脂肪酸のバランス、腸や肝臓の状態、血液中に菌などの微生物がいるかなど、膨大な情報を術者が読み取ったうえで、被験者とコミュニケーションを取りながら伝える技術が必要となります。
クリニックでも何度も勉強会を開き、スタッフと共に技術の向上を図ってきましたが、バイオケア病院を見学し、さらに奥深く得られる情報が多くあることを学びました。
たとえば、血液の状態から、現在から過去にさかのぼった生活環境(有害物質やハウスダスト)、ヘアカラーや内服薬などの化学物質による暴露、打撲などの外からの衝撃の痕、ホルモンや自律神経の状態、さらには過去の心のダメージなども読むことができるというのです。
新しく学んだことを取り入れ、レベルアップした「血液プロファイリング」をクリニックで〝標準化〟するための準備を急いで始めなければなりません。