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ながれるようにととのえる

身体の内なる声を味方につけて、生きる力をととのえる内科医、鍼灸をおこなう漢方医のお話

やくも診療所 院長・医師

石井恵美 (いしいえみ)

眼科医を経て内科医、鍼灸をおこなう漢方専門医。漢方や鍼灸、生活の工夫や養生で、生来持っている生きる力をととのえ、身体との内なる対話から心地よさを感じられる診療と診療所を都会のオアシスにすることを目指す。
やくも診療所/東京都港区南麻布4-13-7 4階

植物からまなぶ

投稿日:

昨年、診療所に吊るしていただけで開花したアマリリスの球根があった。そのアマリリスは、水をあげなくても、空気中の水分だけで見事に花を咲かせた。

その後、アマリリスの球根は実家の庭に植えた。その球根は寒い冬の間じっと土の中で耐えていたのだろう。今年もゆっくりと開花に向けて、毎日少しずつ太陽の方向を確かめながら健気に佇んでいるように見える。私は咲いている姿も好きだが、どちらかというと蕾が膨らんで、少しずつ変化している姿のほうが好きだ。そんな蕾の生命力を感じながら、ぼんやり眺めていると、「『生きている』って、いまここで、ただ必死に生きることなんだ」と思った。

そして、葉っぱの様子や土の変化を丁寧に観察していると、毎日少しずつ変化していることに気づく。生きものは日々変化し、自然のゆらぎのなかで生きているのだ。「植物が水不足で苦しそう」「水をあげすぎて根腐れしそう」などの変化を見つけ、それに対応していると、まるで植物から五感を鍛え直してもらっているように感じることがある。

昨年の夏は、室内で植物を元気に育てるのが難しかった。一日の一番暑い時間だけ冷房が作動するようにタイマーをセットしていたら、あっという間に、葉っぱがカラカラになってしまった。冷房によって空気中の湿気が急に減ったことを、植物は瞬時に判断し、生き抜くために自身で対処したのだろう。「すごい」と思う反面、「ごめんね」と反省しながら策を考えていた。

植物に意識を向けて、丁寧に変化をキャッチしようとすると、植物の声が聴こえてくるような気がしている。細やかに手をかけるほど、生命の本質的ななにかに、少しだけ触れる感覚があるのだ。

自分の変化に関心を向ける

「なんだか梅雨に入るあたりからお腹の調子が良くなくて、食事の度にもよおしているんです」。「夜になると便失禁のような状態になっていて、眠れなくて困っているんです」。これらは、昨年の5月ごろに、いつも診ている患者さん達が困っていたことだ。

春の三寒四温が終わり、次第に気温が少しずつ上がってくる。梅雨の時期は脾胃(膵臓や胃などの消化器)に影響が出やすいと漢方ではいわれている。この時期は、消化器症状、関節の痛みや違和感、浮腫みが起こりやすい。食事のときはよく噛んで、砂糖や果糖を摂りすぎないようにすることも大切だ。冷たい飲料水を急に多く摂り始めると、不調につながる可能性がある。

古来、お腹の調子には、梅が助けになることが知られている。また、甘味を摂りすぎている場合には、黄柏を含む苦味健胃薬が昔から活用されてきた。手当てとしては、胃腸の助けになる足三里の灸がある。灸はよもぎを乾燥させた艾を使っておこなう。足三里の灸といえば、104歳まで現役で診療されていた医師の原志免太郎先生が有名である。松尾芭蕉も足三里の灸をして旅に出ていたと奥の細道に記している。先人たちは、いまできるセルフケアを自然にしていたのではないだろうか。「ケア」という言葉には、関心や思いやり、気にかけるという意味合いがある。セルフケアで自分に丁寧に関心を向けると、こころも軽くなる気がしている。

「天気がいい日は気分が良く、良いほうに考えられるけど、曇りや雨だとそうはいかない」と仰っていた方がいた。毎日同じ自分でなくていい。日々微妙に変化していく。それが生命のゆらぎであると思うのだ。自分の弱点を知り、できることをコツコツやって、自分で自分を良い流れにしようと決意したり、覚悟ができたりしたとき、そこには小さな希望の芽があると思っている。

- ながれるようにととのえる - 2023年6月発刊 vol.189

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