最近疲れやすく、胃腸の調子が悪いこともあり、肉を控えるようになりました。動物性食品は体に負担がかかるという話を聞いたのですが、魚も控えたほうが良いのでしょうか? (食の好みが変化してきた40代会社員)
A.健康な状態で、適度な量なら有効なタンパク源
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
マクロビオティックでは、人間が健康に生きるために動物性食品を食べる必要はないとしています。動物性食品を使わなくてもおいしく健康に良いのが、マクロビオティック料理です。しかし、動物性食品を否定しているわけではありません。動物性食品というと、肉や牛乳、卵、そして魚があります。体調が相当悪い、あるいは病を患っている場合、これら一切の動物性食品を排除することは、体調不良や病気を早く改善するひとつの手立てになります。マクロビオティックで、動物性食品を控えるだけで体の不調が大幅に改善するということはよくいわれます。しかし、基本的には健康だけれども、疲れやすさやストレス、ちょっとした体調不良などが気になるので肉を控えようと考えている場合、魚の位置づけは迷うところかもしれません。
日本という国は島国で、周りを海に囲まれています。そのため、欧米などに比べると、タンパク質の摂取を魚に頼ってきた食文化があります。また、魚や海藻などの海のものと、野菜や山菜などの山のものとでバランスを取ることで、健康的に生きられるということを昔の人はよくわかっていたようです。
マクロビオティックの考え方のひとつに「一物全体」というものがあります。これは、生命は全体でバランスが取れるもので、まるごと食べることが良いという考え方です。最新の栄養学では「ホールフーズ」といわれます。まるごと食べることが健康に良いならば、逆に、まるごと食べられるものは健康にそれほど悪い影響を与えないと考えられます。動物性食品であってもまるごと食べられるものは、タンパク質だけでなくビタミンやミネラルなどそれがもつ栄養素をすべて摂取できて、バランスが良いと考えられるのです。動物性食品のなかで、牛や豚などはまるごと食べることは難しいですが、魚はまるごと食べられるものが多いです。シシャモやイワシなどの小魚、タイなどもそうです。伝統的な料理で、「鯉こく」という鯉をまるごと一匹使う料理があります。この料理は昔から滋養強壮に良いとされてきました。日本人にとって、魚、とくにまるごと食べられる魚は、バランスよく栄養を取るために良い素材といえます。
動物性食品をどこまで控えるかというのは、結局のところ、その人の体質や状態にもよります。健康な人は肉を食べても問題ないかもしれません。しかし、動物性食品を少しでも食べるとマイナスの影響が出る人は、魚も含め一切の動物性食品を控えたほうが良いといえます。
一口に魚といっても、川の魚、海の魚、いろいろな種類の魚がいます。たとえばマグロは、回遊魚といって、泳ぐのを止めると死んでしまうような魚です。つねに泳ぎ続けているため、赤身です。一方、海底でほとんど動かないヒラメなどは、白身です。昔から、体が弱っているときに吸収しやすいタンパク質は白身魚といわれてきました。魚を食べるにしても、その人の体質や状態によって、どんな魚が良いのかが違います。
また、魚については安全性の問題もあります。とくに海にはいろいろなものが捨てられるうえ、境目がありません。その魚がなにを食べてきたかわからないのです。養殖の魚であっても、魚に与える餌には法律の基準がなく、さらに養殖の囲いに発生する藻などを取り除く薬をまくことも多いので、安全性への不安は残ります。
問題がないわけではありませんが、魚は日本人が伝統的にタンパク源としていたものであり、魚を食べても体に支障がなく、おいしく食べられるのであれば、楽しく適度に取り入れるのは良いことだと思います。