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自由教育ありのまま

「日本でいちばん楽しい学校」で新任教師がみた子どもたち

学校法人きのくに子どもの村学園かつやま子どもの村小中学校教員

中川 愛 (なかがわ あい)

かつやま子どもの村小中学校、きのくに国際高等専修学校を経て、立命館大学文学部卒業。高校生時代に東ティモールという国と出会い、残酷な歴史を背負いながらも、笑顔が絶えない東ティモールが大好きになる。「東ティモールのことを少しでも多くの人に伝える」ことを目標に、2019年度4月から、母校であるかつやま子どもの村で教員として働いている。父は、プレマ株式会社代表取締役の中川信男。

肌から伝わるメッセージ

投稿日:

11月6日は、私の24歳の誕生日だった。いつもどおりに教室に入ると、バタバタしていた子どもたちが一斉に椅子に座って「ハッピ~バ~スデ~ トゥ~ユ~」と歌い始めた。ホワイトボードを見ると、「HAPPY BIRTHDAY あいちゃん」という大きな文字のまわりに、たくさんのイラストやメッセージが書かれていた。そんな素敵なサプライズから一日が始まり、そのあとも、たくさんの子から手紙やイラストをもらった。なかには、裁縫の授業でつくったポーチや髪ゴムをくれた子もいた。

教師である以上、ときには嫌がられることを言わなければいけない。そのため、子どもたちともめる日も多い。もちろん、好かれるために教師をしているわけではないのだが、温かいメッセージをたくさんもらって改めて、みんなからの愛に気づいた。

その日をきっかけに私は在校生との関わり方を改めて考えるようになった。ソーシャルディスタンスに気を配らなくてはならないのだが、近くに寄ってきた子の肩を抱いたり、手をつないだりする機会を増やした。それがとても嬉しいようで、私の机のところに来たり、ひざの上に乗ってくる子が増えたように思う。

コロナ禍でZoomなどをつかった「オンライン〇〇」が流行し、遠く離れた人同士が気軽につながれるようになった。インターネット上でコミュニケーションを取るようになったぶん、実際に会って、人のぬくもりを感じる機会は減っている。家族以外の人とは物理的に距離を置くことが「正義」とされる時代になった。しかし、誰もが人のぬくもりを求めているのではないだろうか。

ぬくもりを感じる

「かつやま子どもの村小・中学校」は寮のある学校で、小学1年生から中学3年生の子が同じ建物で生活している。元気に登校し楽しんで過ごしている子でも、やはり家族と離れた寮生活のなかで、さみしさやもどかしさを感じ、うまく言葉にできない不安を抱えていることはあるだろう。そんな不安に対しては、話を聞いたり、アドバイスをしたりする以上に、優しく抱きしめたり、手をつないだりすることのほうが必要である。

これは小さい子に限ったことではない。大人に関わりを求めてやってくる、大きい子も多い。保護者の代わりにはなれないけれど、「大切にされている」「愛されている」という感覚をもってもらうために、私たちにできることは多いだろう。また子どもたちに触れているとき、私自身もその子のぬくもりを感じて、安心しているのだと思う。

つい最近、教師として働く人のうち、毎年約5000人が精神疾患を患っているというニュースを目にした。教師の仕事は、授業はもちろん、部活動の指導、保護者対応、教育委員会や都道府県の私学課とのやりとりなど、気にかけなければいけない仕事も多い。それに加えて、今年は感染症対策もある。そうなると、目の前の子と向き合う時間は減ってしまう。
しかし、そんなときにこそ、子どもたちとふれあうことの大切さを感じる。そのおかげで互いに満たされ、おだやかに過ごすことができるのではないだろうか。そんな関係ができれば、幸せに働くことのできる教員がもう少し増えるのかもしれない。

人は人に優しくすることができる。そのためには、自分自身が愛されているという実感が必要だ。満たされているからこそ、おだやかに過ごせるようになり、人に優しくする気持ちが生まれる。それは大人も子どもも同じだろう。

私も自分の誕生日に、みんなからの愛を感じられたからこそ、人との関わり方について考え、ふれあうことの大切さに気づいたのだと思う。新型コロナウイルスが収束していない以上、距離をとらなくてはならない状況にあふれている。だからこそ、ふれあいと人のぬくもりを大切にして、子どもたちと向き合っていきたい。

- 自由教育ありのまま - 2021年1月発刊 vol.160

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