健康を考え、植物性のタンパク源として豆腐や豆乳を好んで食べているのですが、白い食べ物は体を冷やすと聞きました。冷えが気になる場合は控えたほうが良いのでしょうか?(肉が苦手な20代会社員)
A.調理などで体を温めるよう変化させれば心配ない
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
植物性タンパク質の代表である大豆から作られる豆腐や豆乳は、体に良い食べ物というイメージがあり、実際に良質なタンパク源ではあるのですが、実は体を冷やす食べ物です。冷えは、体の不調だけでなく、心の不調ももたらします。体を冷やす食べ物は、食べる時期や使い方に工夫が必要です。
東洋医学における陰陽の考え方では、食べ物には体を冷やすものと温めるものがあります。体を冷やすものは陰性とされ、広がっていくエネルギー、遠心性をもちます。体を温めるものは陽性とされ、中心に向かっていくエネルギー、求心性をもちます。このことから、大きいものは陰性、小さいものは陽性ともいえます。
大豆は、「大きい豆」と書く通り、陰性の性質をもちます。逆に「小さい豆」と書く小豆は、陽性の性質をもちます。陰性の大豆に、陽性のにがりを合わせて固めたものが豆腐です。一方、陽性の小豆には陰性の砂糖を合わせてあんこが作られます。このように、陰陽の性質はお互いに引き合うとされています。
大豆は伝統的に、そのまま食べるのではなく、時間と微生物の力による発酵を経て、味噌や醤油として食べられてきた歴史があります。発酵により大豆は陽性となり、バランスがとれ、吸収しやすい形になります。昔の人はそういった陰陽のバランスのことをわかっていたのだと思います。だから体を冷やすものを常食しませんでした。夏に冷奴を食べるときですら、塩や醤油、薬味のネギや生姜など、体を温める食べ物と合わせて食べていました。冬は湯豆腐として温めて食べます。陰性の大豆製品は、陽性にしてから食べることでバランスが取れるということを覚えておいていただきたいと思います。また豆乳に関しては、豆腐を作るために昔から使われてはいましたが、豆乳をそのまま飲むという文化は日本では昭和50年代くらいから広まった文化で、ごく最近の話です。
豆腐や豆乳もそうですが、白い食べものは「白物」といわれ、体を冷やす食べ物です。白砂糖、白米、牛乳、大根なども「白物」です。そして、表立ってはわからないけれど一番体を冷やす白物が、化学調味料や人工的な合成添加物です。そういったものは大体真っ白です。このように、陰陽の考え方には色も関係していて、陰性の食べ物は、白や青、緑など寒色をしています。逆に体を温める陽性の食べ物は、黒や赤、橙など暖色です。また、白物といわれる陰性の食べ物でも、加熱や発酵、天日干しをしたり、塩などを使うことで陽性に変化します。大豆が発酵を経て味噌や醤油になるのもそうですし、大根は天日干しすると切干大根になり、黄色に変化し、陽性になります。体を冷やす白物も、そうやって陽性に変化させる方法を使うことで、体を温め、調子よく生活できるようになります。
動物性食品を控えている方や牛乳が苦手という方は、日本では豆乳を飲むことがほとんどです。しかし世界的には、豆乳以外にもアーモンドやゴマ、米など、さまざまな植物性代替ミルクがあります。豆乳は体を冷やす働きが強いですし、昔から飲まれてきたものでもないので、豆乳に偏りすぎず、ほかの代替ミルクも選択肢に入れると良いのではないでしょうか。寒い時期に豆乳を飲む場合は、必ず温めて飲むようにしていただきたいです。
寒い時期は特に、豆腐や豆乳などの大豆製品は体を冷やすということを念頭に置いて、そのままではなく温める、あるいは温かい料理に使うなど、体を温めるよう意識して使っていただくことが大切です。そうすれば、それほど冷えの心配はありません。